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リオ五輪会場の水質が汚染 選手の健康に悪影響

 地元メディアによると、米AP通信社の調査で2016年リオ五輪のボートやセーリングの競技会場の水質汚染が深刻で、競技の開催が危ぶまれる事態にあることが判りました。AP通信は、オリンピックとパラリンピックの会場となるロドリゴ・デ・フレイタス湖に流れ込んでいる生活排水から人体に危険なバクテリアやウイルスが検出されたと報じています。
 調査結果に世界中の専門家が警告を発し、リオ市内でトレーニングを行っている選手たちの健康被害(発熱、嘔吐、下痢などの症状)も懸念されています。
 下水インフラが整っていないブラジルでは生活排水が下水処理されずに垂れ流されている場所が多く、大量の汚物が小川や河川に流れ込んでいます。五輪会場の複数の場所で行われた水質検査では、米カリフォルニア州の海岸と比べ170万倍のウイルスが検出され、スプーン3杯分の水を取り込んだだけでほぼ確実に影響を及ぼすとしています。
 数十年にわたって水上の清掃が行われてきたにもかかわらず、リオ市のガレオン国際空港を訪れる旅行者は汚水の悪臭にショックを受け、美しい海岸は汚泥の波に侵食され、五輪会場のロドリゴ・デ・フレイタス湖では魚の大量死も起きています。しかし、リオ州環境技術研究所水質管理部のレオナルド・ダエモン部長は「ブラジル国内の基準に沿った水質だ」と語っており、改善の可能性はないようです。
 来年のリオ五輪には205カ国から1万人以上の選手が来伯する予定で、グアナバラ湾のマリーナ・ダ・グロリア近辺で水泳やカヌー競技に参加する選手は1400人に及ぶとみられています。