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ペトロブラス汚職事件で下院議長が政権と対立

 地元メディアによると、ペトロブラス汚職事件を巡りパラナ州連邦警察が進めている特別捜査で、コンサルティング会社ジュリオ・カマルゴの職員が同州の連邦裁判所で証言を行い、エドアルド・クーニャ下院議長(ブラジル民主運動党)が500万ドルの賄賂(わいろ)を受け取っていたと証言しました。証言を受けクーニャ氏は17日、ジルマ大統領(労働者党)との協力関係を解消する姿勢を明らかにしました。
 クーニャ氏は自身のツイッターに「私は本日をもってブラジル政府との縁を切る」という一文を投稿し、9月に予定されているブラジル民主運動党の党大会で、ジルマ政権の与党陣営を離脱し野党側に回る意向を党員らに説明する方針です。同氏は、労働者党に対して「ペトロブラス汚職疑惑の泥沼にはまっており、会計部門の党員らが既に逮捕されている。私にはジルマ氏の味方をすることはできない」と批判のトーンを強めています。ブラジル民主運動党はミシェル・テメル副大統領の所属党で与党陣営に属していますが、同党とジルマ政権の関係は2月にクーニャ氏が下院議長に就任して以来、緊迫した状態が続いていました。

重要なカマルゴ社の証言

 カマルゴ社は、ペトロブラスと請負会社の間に結ばれた契約には政治家らへの多額の賄賂が含まれていた疑いを告発しており、特別捜査を進める中で重要な証言とみられています。クーニャ氏と同じくブラジル民主運動党のレナン・カリェイロス上院議長も連邦警察と連邦最高裁判所による捜査対象となっており、すでに捜査が進められています。
 ジュリオ・カマルゴ社の職員は「攻撃的な人物として知られるクーニャ氏だが、私に対しては非常に友好的だった」と述べ、当時下院議員だったクーニャ氏がカマルゴ社とトーヨー・セタル社の間で結ばれたコンサルティング契約に絡んで「君に対して否定的な個人感情はないが、君は『フェルナンド君』に借りがあるだろう。だから私に500万ドルを支払ってくれないか」と贈賄を強要したと証言しています。
 証言を受けて記者会見したクーニャ氏は、「私はカマルゴ社の証言に困惑もしていなければ弱みを突かれたとも考えていない。今回の告発はロドリゴ・ジャノット連邦検察庁総長が仕組んだ私への個人攻撃に過ぎない。大統領官邸(プラナルト宮)は特別捜査の矛先をコントロールしており、カマルゴ社の証言もジャノット氏が強要したであろう虚偽の証言だ」と強く批判しました。