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高齢化社会で課題山積み

 地元メディアによると、ブラジルでは現在、60歳以上の高齢者が全人口に占める割合は11%となっていますが、2060年には全人口の3分の1以上が60歳以上になるといわれています。ブラジルには高齢者医療の施設が整っておらず、サンパウロ市で今日から開催されるブラジル健康フォーラムでも高齢者問題が重要テーマとして取り上げられています。
 ブラジル社会の高齢化は二つの理由が挙げられています。一つは女性1人当たりが生涯で出産する子供の数が低下したことで、もう一つは平均寿命が長くなったことです。1970年代のブラジル人女性は一生の間に平均5.8人の子供を生んでいました。現在はこの数字が1.74人まで低下しています。1年間の死亡人口を補充するためには女性1人につき最低2.1人の生涯出産率が必要ですが、ブラジルでは一定期間の間に死亡する人々の数が出生数を上回っており、このままでは人口は減少していきます。実際、米国やフランスなどの先進国と比べてもブラジル人女性の生涯出産回数は低くなっています。平均寿命も延び、70年代の53.5歳から、現在の75.1歳へと大幅に延びています。
 高齢化社会では社会保障制度や公共医療の高額化といった社会問題が避けては通れません。27日の健康フォーラムで「老人の国の未来」というテーマで講演予定となっている医師で国際長寿センターのアレシャンドレ・カラシェ会長は「ブラジルは感染症で死亡する国から慢性病で死亡する国へと変化を遂げた。しかし国の医療システムは、この現実に対応する準備が整っていない」と語っています。