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日米欧がブラジルに輸入品問題で圧力

 地元での報道によると、ブラジルの税制を通じたさまざまな分野の国内産業支援策を巡り、日本、米国、欧州連合(EU)は世界貿易機関投資委員会で問題を提起、ラジル政府に対し、この産業支援策が世界貿易機関の国際規範に違反していないか確認するよう要求しました。日米欧は「ブラジル政府が外国からの輸入品に対して差別的な産業支援策を講じている」としています。
 ブラジル政府は2011年、工業製品税の引き上げに関する条件で世界貿易機関から批判を受けたことがあります。批判されたのは、ブラジル国内で生産される自動車の国内調達率を最低65%とし、それを達成できない自動車メーカーとブラジル国内で研究開発投資を行っていないメーカーは工業製品税増税の対象とする政策です。
 日米欧はこの措置に対し共同声明を出し、「ブラジル政府がこの増税の有効期間を12年末までとし、あくまで一時的な措置だとしていた」と指摘した上で、「17年まで有効な新たな税制が拡充されることは、輸入車に対する差別的な措置だ」と批判しました。自動車産業だけでなく、12年にブラジル政府が可決した通信機器の生産に関する規制においても類似した措置が取られており、デジタル製品の輸入品には新たな税制が適用されるほか、半導体分野では国内調達率の基準が引き上げられ、輸入品に対する過剰な税金徴収が行われているとの指摘もされています。
 ブラジル政府のこれらの措置が世界貿易機関の国際規範に違反した可能性があるとはいえ、日米欧の共同声明は世界貿易機関による法的措置とは無関係で、投資委員会で議論されるにとどまりそうです。ブラジル政府は、自国の産業支援策は国際規範に違反していないと主張しています。
 先進諸国が共同でブラジル側に圧力を掛けたのは今回が初めてで、日米欧は「声明文の中で取り上げた問題点は氷山の一角だ」と強調しています。先進諸国が不況に苦しんでいる現在、世界で唯一成長を成し遂げている新興諸国の市場は、日米欧にとり逃せない市場で、ブラジルの自国企業保護策は看過でないことのようです。