中南米の最新情報

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下院での大統領起訴可否判断審理始まる

 国内メディアによると、連邦検察庁が連邦最高裁判所へ提出したテメル大統領の収賄容疑に関する起訴の可否を判断する下院審理が29日から始まりました。最高裁が同案件の訴訟を開始するかどうかを判断するには下院本会議で議員数(定数513)の3分の2以上の賛成が必要ですが、下院は連立与党が多数を占めているため、起訴が承認されない可能性が高いとみられています。

 地元フォーリャ紙の調査では、審理開始時点で起訴反対を明確にしている議員は全下議(513人)の内45人にとどまっています。また捜査の継続を支持すると答えた議員は130人。112人がどのように投票するか決めていないと答え、57人は立場を表明していません。その他168議員は同紙の電話または電子メールによる取材に回答しませんでした。数字の上では下議171人以上が起訴反対に回れば、最高裁での審理は保留になります。

 本会議での可否判断投票は記名式です。投票意向を決めるのに所属政党の決定を待つとした議員や、下院大統領弁護側の意見、最高裁報告官の意見を聞いた上で判断すると答えた議員も少なくありませんでした。本会議での採決は、通常どおりに進めば26日ごろになるとみられています。大統領弁護側の意見表明が早まれば、採決はさらに早まるようです。

スマホ販売25%の伸び

 地元メディアによると、国内におけるスマートフォンスマホ)の販売が大きく伸びています。情報技術専門調査会社IDCの調査によるもので、2017年第1四半期(1~3月)の国内スマホ販売数は16年同時期を25.4%上回る1240万台に上りました。

 IDCは、「16年の年初3カ月間の販売数はドル高の影響で輸入品、海外部品使用の国内産の価格が高騰し大きな落ち込みを見せた。今年1~3月になって、レアルに対するドルの安定と新製品の登場、FGTS(勤続期間保障基金)休眠口座からの資金の引き出しなどがプラス材料になり、買い替え需要で販売数が膨らんだ」としています。

 消息通の話では、新スマホへの買い替えは2年前まで、平均1年から1年半でした。今では2年に伸び、しかも工夫を凝らした魅力のあるスマホを選ぶ傾向にあります。IDCは「現在、国内で使用されているスマホの4割近くが寿命を迎えつつあり、買い替えの時期が来ている。17年の年間販売台数は昨年比8%増になるだろう」と見ています。

性的暴行が3割以上増加=サンパウロ州=

 地元での報道によると、5月にサンパウロ州で起きた性的暴行の件数が昨年同月比で30%以上の増加となっています。州内の性的暴行事件は943件で、昨年同月より260件(38・07%)も増加しました。サンパウロ市だけでも、昨年同月の184件から225件へ22・28%増えています。

 同州公共保安局は性的暴行事件の増加について、「通報件数が増えたことによる」との見方をしています。「公共交通機関での嫌がらせや痴漢行為は頻繁に起きているが、これまで通報されないことが多く記録されなかった。性的暴行事件は通報が重要だ。通報でより効果的に抑止できる犯罪だ」と指摘しています。

7日から3日間、日本祭り開催 17万人来場を予想

 7月7日~9日の3日間、サンパウロサンパウロ・エキスポ・センターでブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)主催の「第20回フェスティバル・ド・ジャポン(日本祭り)」が開催されます。「20年の歩み」をテーマに開かれ、3日間で17万人の来場を見込んでいます。会場は4万平メートルの広さ、4500台収容の駐車場も完備されています。

 「フェスティバル・ド・ジャポン」の第1回開催は1998年7月、今年で20年目になります。第1回はブラジル日本移民90周年記念行事としてサンパウロ市イビラプエラ公園で2日間にわたって開かれました。日系企業や金融機関、日系団体、文化団体と27県人会が協力、当時のサンパウロ市内では食べられないような各県の郷土食を提供すると共に民謡、太鼓、各県の踊りなどの芸能文化も披露していました。当時を知る人は、「1世の参加者が多く、当時多かった日本への研修制度から帰ってきた人たちも手伝って盛り上がった。正確な統計はないが、それでも来場者は1万人程度で、家庭的なイベントだった」と振り返ります。

 2005年の第9回からサンパウロ州農務局展示場(現在のサンパウロ・エキスポ・センター)に会場を移し、来場者も3日間で10万人台に膨れあがりました。第9回では40県人会が郷土食を販売し、43団体が芸能を披露しました。この時からサンパウロ市長や州行政関係者も訪れるようになり、ブラジルでも有数の日本文化イベントに育っていきました。今では46県人会が参加し、17万人の来場を見込むほどの日本文化イベントです。今年のテーマが「20年の歩み」となっているのは、これまでの道程を振り返るという意味が込められています。このため20年の軌跡を振り返る写真展と、50周年を迎えた県連(日本祭り主催団体)の写真展が予定されています。

 今年は新たな試みとして、マルチ・メディア・スペースに大スクリーンを三つ用意、スポンサーの情報やステージ上のパフォーマンスの映像を流します。山田会長は、「第1回(日本祭り)の初心に帰って、新たなモチベーションを持ち、来てよかったと言ってもらえる祭りにしたい」と意気込みを語っています。

<写真>昨年の日本祭り会場=サンパウロ新聞提供=f:id:ncb:20160710173228j:plain 

大統領は潔白を主張

 連邦検察庁が26日、ミシェル・テメル大統領(PMDB=ブラジル民主運動党)とロドリゴ・ロシャ・ロウレス元下議(PMDB)を収賄容疑で連邦最高裁判所に起訴した件で、テメル大統領は27日大統領府で声明を発表、今回の起訴は具体的証拠に基づかないものと指摘、「推定による作り話だ」と潔白を主張しました。国内各メディアが報じています。

 今回の起訴は、テメル、ロウレス両氏がJ&Fに便宜を図る見返りに不正な利益を受け取ったとして行われました。起訴の決め手になったのは、JBS社幹部の証言と同社オーナーのジョエズレイ・バチスタ氏がテメル氏が副大統領だった今年3月に同氏との会話を秘密裏に録音したデータといわれ、このデータが検察に提出されています。同会話の中でテメル氏は、仲介役として自身の元特別補佐官だったロウレス氏(当時は補欠からの繰り上げにより下議)の名前を挙げたとされています。ロウレス氏は今年4月サンパウロ市内で、J&F側が用意した50万レアルが入った鞄を運んでいる様子が連邦警察により撮影され、今月3日から勾留されています。

 起訴状では、この50万レアルについて、国営石油ペトロブラスからJ&F傘下の火力発電企業へのガス供給価格に関して経済防衛行政審議会に影響力を行使した見返りに支払われた賄賂の一部であり、ロウレス氏を介してテメル大統領に支払われたものだとしています。さらに、同件に関する賄賂として合計で3800万レアルを受け取る予定だったとも指摘しています。

審理開始は微妙
 職務遂行中の現職大統領が最高裁に起訴されるのは1992年のコロル大統領に続いて二人目。ただし、コロル氏は弾劾裁判へ向けて職務停止中でした。最高裁で現職大統領の審理を行うかどうかを判断するには、下院での承認が必要となります。下院本会議で議員数(定数513)の3分の2以上が賛成すれば、最高裁11人の判事による審理が始まります。最高裁で訴訟開始が認められれば大統領は、訴訟期間中、最大180日間の職務停止となります。ただし今回は、下院における与党勢力議席数から、3分の2の賛成が得られない可能性も報じられています。この場合、同起訴は保管措置になります。

 今回の疑惑は、今年5月、バチスタ氏による会話録音の内容がオ・グロボ紙により報じられたことで浮上しました。疑惑発覚後大統領は、一貫して不正の疑いを否定し、辞任の意思はないと表明しています。

財務相が成長軌道に乗ったと表明

 地元メディアによると、エンリケメイレレス財務相が20日、短文投稿サイト・ツイッターで「第一次産業第二次産業第三次産業ともに回復のいくつかの兆候が見られ、それらは成長軌道の始まりを示している」と指摘、さらに「企業各社が労働者の新規採用を再開し、失業率が低下するまでには多少の時間がかかるだろう」との見解を表明しています。

連邦検察が大統領を収賄罪で起訴

 ブラジル連邦検察は26日、食肉加工会社「JBS」から50万レアル(約1700万円)の賄賂を受け取ったとして、テメル大統領を収賄罪で起訴しました。連邦警察は、同社幹部の証言でテメル大統領、ロウレス元下院議員を収賄司法妨害、組織犯罪加担の容疑で捜査、22日になって連邦最高裁報告官のファキン判事が捜査報告書を連邦検察に送付、検察は起訴するかどうかを検討していました。大統領は、一貫して関与を否定しています。

 連邦検察が大統領を起訴した場合、最高裁が起訴を受理するかどうかの前に下院議会で議員の3分の2以上の賛成が必要になります。議会の賛成が得られて初めて最高裁は公判を開始するかどうかを判断します。現状では連立与党が下院の多数を占めており、公判開始は議会で否決されると見られています。

 ファキン判事が今回送付した報告書は最終のものではなく、連邦警察は今後、最終報告書と大統領と贈賄側のバチスタ会長との録音されたものなども最高裁に提出することになっています。

農産物収穫予想を上方修正

 国内各メディアによると、ブラジル地理統計院が8日、2017年の農産物収穫量予想の上方修正を発表し、前年比29.2%増の2億3860万トンになるとしています。地理統計院は当初、今年の収穫量を前年比16%増と発表していました。それが月を追うごとに上向きに修正されていました。

 17年の収穫量の伸びは主に大豆とトウモロコシの収穫拡大によるものです。統計院の最新の推計では、今年の収穫量の93.4%を米、トウモロコシ、大豆が占めるとしています。昨年と比べ米は14.7%、トウモロコシが52.3%、大豆が17.2%、収穫が増加しています。

サントス市が占い師に過料4000レアル 

 地元メディアによると、観光地で有名なサントス市が「あなたの愛する人を取り戻します」「愛する人をつなぎ止めます」などの宣伝文と連絡先、料金(200レアル)を書いたチラシを市内の電柱に貼りまくっていた占い師(女性、86歳)に4000レアル(約14万円)の過料を科し、すべてのチラシを剥がし撤去するよう命じました。

 市当局はここ2カ月の間にチラシに対する苦情を複数受けたことから、チラシの主の「ジェイドの母」と名乗る占い師と面会し、過料とチラシの撤去を命じました。ちなみに「ジェイド」とは宝石の翡翠(ひすい)のことです。サントス市は電柱や公共機器に広告チラシを貼り付けたりすることを条例で禁じています。これに違反すると過料に処せられ、30日以内に過料を納めるか、または意義申し立てをする必要があります。

 「ジェイドの母」の過料騒ぎは初めてではなく、2015年に「ジェイドの母」の孫が、今回と同様のケースで1万レアルの過料を科されています。「ジェイドの母」自身も14年にも科料を科されており、この時は環境犯罪犯として警察へ連行されてもいます。

大統領のバチスタ氏提訴を棄却

 国内メディアによると、食肉加工大手JBSと親会社J&F社オーナーのジョエズレイ・バチスタ氏をテメル大統領の弁護士が「雑誌での発言はでたらめだ」として刑事告訴しましたが、ブラジリア第12連邦裁判所の判事は20日、同訴えを棄却しました。

 判事は棄却決定理由を、「バチスタ氏がインタビューで語ったのは同氏が司法取引で行った証言の文脈における事柄であり、他者のイメージを傷つける意図はなく、指摘された罪にはあたらない」としています。

 大統領の弁護士は訴えの中で、「バチスタ氏がテメル大統領をブラジルで最も危険な犯罪組織のリーダーなどと雑誌で誹謗しているのは、虚偽をもって大統領を攻撃するもので、大統領の誠実さに疑念を抱かせるものだ」と指摘していました。