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汚職防止法大幅修正可決にデモで抗議

 「フォーラ・レナン! フォーラ・レナン!(レナン、出て行け!)」――。4日、サンパウロ市内の大通りで、30日に汚職防止法案の大幅修正案が採決されたことに抗議するデモが行われました。同通りには、同法案修正条項を即刻採決したレナン・カリェイロス上院議長を非難する声が響き渡りました。デモには、日系人参加者も見られ、「ルーラ(元大統領)やジルマ(前大統領罷免)の時よりも悪い。政治家が自分たちのことしか考えていない」と怒りを露わにしていました。
 同大通りのサンパウロ美術館付近では、上院議長として同法案修正条項の即刻採決を行い、自ら横領疑惑に問われているレナン議長をはじめ、同法案を連邦下院議会で承認した下院議員たちの顔写真入りの「MURO DA VERGONHA(恥の壁)」と書かれた横断幕や「腐敗はもうたくさん」と書かれたプラカードを掲げたり、「セン・ベルゴーニャ(恥知らず)!」などという抗議の声が聞かれました。
 毎回こうしたデモに参加しているというサンパウロ市内在住の日系の女性(63歳、二世)は、「普通の国民は、たとえ貧乏であっても毎日懸命に働いている。国民の代表として政治家になった人が、自分たちのことしか考えず、プライドも何もない。ルーラやジルマよりもひどいよ。最悪」と吐き捨てました。同じくサンパウロ市内在住の日系2世の夫と息子とデモに参加した安藤ミチコさん(69歳、奈良県出身)は、「いつもブラジルが良くなるようにと思ってデモに来ていますが、こんなにひどくなるとは思わなかった。ブラジルは大好きですが、政治は良くならない。(今年)3月(のジルマ前大統領退陣を求めた大規模抗議デモ)の時よりも参加者が少ないような気がする。今回が一番(状況が)悪く、訴えないといけない時なのに寂しいね」と肩を落としました。
 今回でデモに参加するのは4回目と話すサンパウロ市内の佐野ジョルジさん(76歳、二世)とマリーナさん(73歳、二世)の夫婦はインターネットでこの日のデモを知り参加した。「今の政治家は自分たちさえ良ければよく、国民が食べていけなくても何とも思っていない。普段は何もせずに猫のように黙っていて、自分たちの都合が悪いことが起これば爪を出すような態度が許せない。子供や孫のために少しでもブラジルが良くなってほしいとの思いを込めて、デモに参加した」と語りました。
 今回の汚職防止法案修正条項に「SIM(賛成)」と肯定の投票をした大田ケイコ下議ら日系政治家が複数いることに、ソロカバ市から同デモに家族で参加した日系二世の男性(75歳)は、「大田さんだけを責めるわけではなく、『SIM』と投票した議員すべてがひどいと思っている。同じ日系人としてブラジル国民のためにこの国を良くしてくれると願っている私たちにとっては非常に残念」と話しました。