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報告官が議会手続きの継続求める=大統領弾劾

 各メディアによると、ジルマ大統領の弾劾手続き開始請求を審議する下院特別委員会で6日、報告官のジョバイール・アランテス議員(労働党ゴイアス州)が意見書を発表、疑惑の最低限の間接的証拠があるとして、「弾劾に関する審議を継続するべき」との見解を示しました。ジルマ大統領は、連邦会計の操作や大統領令で追加の歳出を行ったことが背任の罪にあたるとして弾劾されています。
 アランテス議員は、議会の承認を経ずに追加支出の大統領令を出したことについて、憲法、財政責任に反することを示す間接的証拠が見られ、大統領はそうしたことが違法になると認識していたとの見方を示しました。14年度会計において、社会プログラム(低所得者向けの家族手当など)の支出を公共金融機関の資金で支払い、国庫からの返済を遅らせることで粉飾会計を行ったのは、予算の透明性と財政均衡の原則に反する可能性があると指摘しました。意見書は128ページに及び、同議員は発表に3時間以上費やしました。意見発表で同議員は、政府が国民の信頼を失い、現在の経済・政治危機をもたらしたと指摘。「大統領が背任罪にあたり得る行為を行った最低限の間接的証拠がある」と述べ、大統領の職務と国民の信用を侵害したことは弾劾の理由になるとしています
 このほか、ペトロブラス汚職に関する訴えについての判断は上院に委ね、意見書では取り上げませんでした。アランテス議員はまた、大統領弁護側による「弾劾はクーデター」との主張やクーニャ下院議長による弾劾請求受理は復讐のためとの指摘を否定、弾劾手続きは憲法で認められた手段だと述べました。
 各報道機関の見立ては、11日に行われる同意見書に対する投票では、65人の委員のうち32人が賛成する意向を示しているとし、承認される可能性が高いと見ています。承認されれば下院本会議へ送られ、3分の2の議員が賛成すれば上院へ送られます。下院での審議は15日から行われる見通しですが、現時点では弾劾支持派が3分の2の議員数を確保できるのは難しいと見られています。