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小頭症例増加で中絶論議高まる

 ブラジルのメディアによると、小頭症症例の増加で中絶に関する議論が高まっています。現在ブラジルでは、母親の命に危険があり、レイプで妊娠したり胎児が無脳症であった場合にのみ中絶が認められています。
 BBCブラジルのインタビューの中で人類学者のデボラ・ジニスさんは、ジカウィルスに関連して小頭症になった胎児を妊娠した場合、中絶を許可することを連邦最高裁判所に求める訴訟準備に入っていることを明らかにしています。
 無脳症の胎児のような例外的な場合の中絶を容認する少数の判事の一人であるジェセイール・コエーリョ・デ・アルカンタラ判事も、数日前にBBCブラジルのインタビューに胎児が死んで生まれる危険性が医師により証明された場合、小頭症の場合でも中絶を承認すると答えています。

違法中絶が80万件

 こうした議論がある一方で、現在も国内では非合法の中絶が行なわれています。世界保健機関によれば、ブラジルでは年間80万件の違法な中絶が行なわれ、2日に一人の女性がそのために死亡していると推定しています。
 小頭症の平均発症ケースよりもジカウィルスによる感染症が多くなる可能性のあるフランス領ポリネシアでは、この診断を受ける胎児の大半を中絶しているといいます。英国など他の国々では、中絶は妊娠24週まで許可されており、その理由が問われることはありません。