中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ブラジルW杯全会場のベンチを製作=旭硝子=

 旭硝子株式会社(石村和彦社長)は23日、サンパウロ市イタイン・ビビ区のカザ・イタインで記者発表を行い、W杯用にデザインや機能を刷新したベンチを日本・ブラジル両国のマスコミに公開しました。同社は昨年ブラジルで開催されたコンフェデレーションズカップコンフェデ杯)のベンチも製作しています。記者会見には、同ベンチのアンバサダー(親善大使)を務める元ポルトガル代表ルイス・フィーゴ氏も同席、製品の魅力を語りました。
 石村社長は、「最初の試作品はまるで工場設備のようでW杯向け製品には値しなかった。半年の短い 製作期間で試作を繰り返し、デザイン、安全性、強度、耐久性、重量に至るまで、あらゆる面で難度の高い要求を満たすベンチになった」と語り、「完成したベンチはFIFAが定める厳しい基 準もクリアしている。携わったメンバーにお礼を言いたい」と社員をねぎらいました。
 旭硝子はBtoB企業(企業向け事業が主体の企業)で初めてFIFA(国際サッカー連盟)とブランドライセンス契約を締結しており、今年のブラジルW杯では全12会場に同ベンチが設置されます。コンフェデ杯に納めたベンチは、ガラス部分のみを旭硝子が製作していましたが、W杯用ではフレームや座席など、すべてのパーツを旭硝子が製作しています。
 新製作のベンチは、屋根に同社が開発したドラゴントレイルX(エックス)=主にスマートフォンタブレット端末のカバーガラスに用いられる=という化学強化ガラスを採用、通常ガラスの8倍の強度を実現し、コンフェデ杯時より強度が30%アップしています。同ガラスは極めて反射しにくく、透明感があるため、試合会場ではベンチが観戦者の視界を遮る可能性も低くなっています。
 フレームには同社のFRP(繊維強化プラスチック)を使用し、強度とともにさびにくく、触った感触は柔らかく弾力性に富んでいます。座席は同社のウレタンやポリカーボネートで製作。塗料にフッ素樹脂を使い光沢を出し、デザインと座り心地の両立を目指したものになっています。