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焼畑でセラード(乾燥した灌木地帯)半減

 ゴイアス州ニケランジア市の公務員、フランシスコ・デソウザさん(42)は「セラードがなくなることはあり得る、限りある資源だ」と語ります。現在は、セーラ・ダメーザ・ダムの魚類保護の仕事をしていますが、2004年まで60の炭焼き釜で木炭を製造販売していました。
 ブラジル中部のセラード地帯は1970年代以降、国際協力機構(JICA)との共同農地開発などでコーヒー豆や大豆の一大生産地となりました。土地開拓を進めるため、当初はユーカリ植林が盛んに行われ、その後、自然林にとって致命的とも言える炭焼きが広まりました。理容師だったデソウザさんはこの波に乗り、「開拓したい」という地主から土地を借り、60の炭焼き釜を据えてミナス州向けの製鉄用木炭を作り始めたのです。
 同様のきっかけで炭焼きを始めた人は多く、セラードの自然林は伐採や焼畑が急速に進んでいます。国立地理統計院が公表した統計によれば、全国で総面積が2千平方キロメートルだったセラード地帯は、08年までに48.4%が消滅しています。生態系では植物131種と動物99種が絶滅の危機にあるといわれます。
 ブラジリア連邦大学のレゼンデ教授によると、「08年の調査からも伐採が進んでおり、セラード全体の60%が消滅したと考えていい。有効な保護政策がないまま、このペースで伐採や焼畑が進めば、30年には完全消滅する」と警告しています。