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ブラジルで報じられた日本の少子化問題

 ブラジルのメディア6日付が日本の少子化問題について報道、数百万ドルを投じて少子化を解決しようとしていると報じています。報道によると、昨年、100年以上ぶりに日本で生まれた赤ちゃんが80万人を下回り、岸田首相は「歴史的な少子化のため、日本の社会が機能しなくなる寸前である」と述べました。

 日本の出生者は1970年代、200万人を超えていました。それが80万人を割り込んだことで岸田首相は「子どもや子育てに関する政策は待ったなしの課題であり、先送りすることはできない」と述べ、日本における喫緊の課題と強調しています。出生率の低下は先進国に広く見られる現象ですが、日本ではより深刻です。ここ数十年は平均寿命が延びたため高齢者の数が増え、それを支える働き手が逆に少なくなっているのです。

 世界銀行のデータによると、日本はモナコに次いで世界で最も高齢者が多い国です。人口のかなりの部分が退職し、医療サービスや年金制度が限界に達しており、このまま生産年齢人口の減少が続けば、経済の維持が非常に難しくなります。政府はこれまでも出生率向上に向け様々な政策をとってきましたが、期待するような結果は得られていません。

 こうしたことから日本政府は、子育て支援による出生率向上策に充てる財政支出を倍増させ、国内総生産の4%程度まで財政支出を増やすと発表しました。これで日本人女性の平均出産数1.3人という極めて低い水準を改善できるのかどうか、家事や育児における男女の不平等という日本の文化があるだけに、極めて微妙としています。

 オーストリア・ウィーンの人口統計研究所のトマス・ソボトカ副所長は、「男女の不平等は出生率の低下に寄与している理由の一部に過ぎない。日本には長時間労働、高いコミットメント、高いパフォーマンスを従業員に求める懲罰的な労働文化もあり、女性が子供を産む余地はほとんどない」と指摘しています。

 他に解決策はあるのだろうか。米国カリフォルニア大学のグローバル移民センターの創設者兼所長で、全米経済研究所の研究員であるジョバンニ・ペリ氏は、「日本の課題解決には移民が不可欠」と語ります。しかし、日本政府は移民を拒否しています。BBCの元日本特派員であるルパート・ウィングフィールド・ヘイズ氏は、「日本人の移民への敵意は衰えていない」と説明します。続けて、「少子化の解決策として移民を拒否した国がどうなるかを見たいのなら、日本はそのモデルになるだろう」と語りました。