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ブラジルの生物資源が外国企業のドル箱

 ブラジルのメディア17日付によると、国の投資不足のため、外国の製薬会社はブラジルの生物資源を利用した医薬品から大きな利益を得ています。ブラジルの科学者たちは、「外国企業はブラジルの生物から抽出された材料を使ってさまざまな種類の病気と戦う薬を開発、何百万ドルも稼いでいる」と嘆いています。

 ブラジルには多様な生物が生息し、外国企業はこれを利用した薬を開発、製造しています。ブラジルは投資不足から国内企業は、ほとんど生物資源を利用できていません。これまでブラジルで開発されたのは、抗炎症剤とインポテンツ治療剤の2種類のみです。

 研究者は「ブラジルの大学が薬を開発使用にも開発費がない。政府は国内産業への資金提供も、大学への資金提供もわずか。むしろ減額している」と説明します。主要な研究助成機関の予算は2014年に27億レアルでしたが、7年間で半分以下になり、 2021年の予算はわずか12億レアルです。

 さらに研究者は「高血圧と心臓の問題のために世界で最も売れている2つの薬、カプトプリルとエナラプリルが製造されたのは、ブラジルのハララカの毒から。この特許は外国産業が保有し、年間550億レアル相当の収入を得ている。 2021年の科学技術革新省の予算の9倍にもなる」と説明しています。

 このほか、世界中で6500万人が罹患し、失明を引き起こす可能性のある緑内障も、ブラジルの生物資源を利用して製造される治療薬が使われています。