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ベネズエラ人のブラジル流入が続く

 経済的、社会的に混乱する自国を離れたベネズエラ人が、ブラジルへどんどん移り住んでいます。ベネズエラ人はベネズエラと国境を接するロライマ州の国境市パカライマや州都ボアビスタに集中して住み、彼らの急増で行政サービスに影響が出始めています。ベネズエラから100キロほどしか離れていないボアビスタ市にはベネズエラ人が4万人(市人口33万人の1割)も住んでいます。フォーリャ紙が報じています。

 連邦警察によれば、2016年にブラジルへ入国したベネズエラ人は5万7000人で、出国は4万7000人でした。17年には7万1000人が入国、2万9000人が出国、4万2000人が残留したままです。法務省は、「ブラジルに移り住んだベネズエラ人の難民申請件数は、16年の3356件から17年には1万7865件に急増している」としています。

 ボアビスタ市の連邦警察署は、「毎日午前7時ごろにはブラジル入りしたばかりのベネズエラ人約400人の列ができている。ブラジルで就労するための何らかの証明書を発行してもらうためだ」と話しています。ベネズエラ人のブラジル移住が本格化したのは16年。当初は働き盛りの男性が大多数でしたが、今では1個か2個のスーツケースを手に家族全員が移動してくるそうです。

 連邦警察の列の中にいた31歳の女性は、娘と夫、4人の親族と共に並んでいました。ベネズエラ北部のクマナーから3日かけてボアビスタに到着、そのうち2日はブラジル側の国境の街道で野宿しました。この女性がブラジル入りしたのは3カ月前、雇い主の家で住み込みの乳母をして家族を呼び寄せる資金を貯めました。しかし、「乳母の仕事は一時的。家を買う余裕もないため、どこに引っ越すつもりだ」と話しています。市では「彼らに対する支援がないため、職の多い他州への旅費も援助できない」と説明します。

 市の保健・教育システムは機能せず、州による2カ所の避難所は数カ月間にわたり過密状態。にも関わらず、移住者は増える一方です。17年には、同市内の公立校に600人のベネズエラ国籍の子供が入学しました。保健施設で世話をした数は3万2000人に上り、277家族がブラジル政府の生活補助を受けています。