ブラジルメディアが報じるところでは、アルゼンチンのクリスチーナ・キルチネル大統領が16日、1999年にスペインの石油大手レプソルが傘下に収めたYPFを国有化するため、スペイン側の反感を押し切って議会に法案を提出すると発表しました。YPFの国有化についてアルゼンチン政府は、同社が需要に基づく必要な投資を怠ったためだと説明しています。キルチネル大統領はYPF国有化の発表の際、ブラジルの例を出し、「ペトロブラスは政府が株式の51%を保有しており、こういった経営体制を我々は選んだ」と述べました。
YPF国有化の発表と同時に早くもそれに向けた緊急処分が下され、理事会の解任と介入担当者の任命が行われました。同社のスペイン人代表者らは解任され、介入担当者としてフリオ・デ・ビド連邦計画相とアクセル・キシロフ経済計画次官が任命されました。
現在、YPFの株式はレプソルが51%、アルゼンチン資産家のエスケナジ一族が25.4%を保有しています。今回の法案が議会で可決されれば、アルゼンチン政府が26.01%、原油を生産している各州が24.99%を保有することになります。
キルチネル大統領は、レプソルに対して買収した株式の賠償金を支払うことを強調したものの、「国有化の詳細は法案に明記されている」という発表にとどまり、正確な金額は提示されませんでした。なお、アルゼンチン議会におけるキルチネル大統領の支持率は非常に高く、同法案が承認されるのは間違いないとみられています。
スペイン政府はYPFの国有化に強く反発しており、レプソルがアルゼンチン政府に対して法的措置を検討しているとしています。また、スペインの企業家らは同国の債務危機が悪化することを懸念しています。