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値上げ抗議のデモ続く

 サンパウロ新聞Web版によると、サンパウロ市とサンパウロ州政府が今月初めに実施した路線バス、地下鉄、近郊都市電車の運賃値上げに抗議する2回目のデモ行進が16日、サンパウロ市内中心部で行われ、デモ参加者の14人が警戒に当たっていた軍警察に身柄を拘束され、フォトジャーナリスト1人を含む複数が軍警の非殺傷性手榴弾の破片やゴム弾、催涙ガスなどで負傷しました。
 デモは、公共交通機関の運賃無料化を訴える市民グループ「Movimento Passe Livre」の呼びかけで行われたもので、同市中心部のパウリスタ大通りの「サイクリスト広場」に午後5時頃から集まり、デモ行進を開始する前の集会を始めました。この集会を武装した軍警官らが取り囲みました。1人の男性がデモを警備している軍警の隊列を横切ろうとしたところ、数人の軍警が突然この男性を取り押さえにかかり、それを合図に集まっていた市民や報道関係者らに向け何発もの催涙弾や非殺傷性手榴弾などが発射されました。周辺にオフィスビルやマンションが立ち並ぶ現場一帯は一時、催涙ガスの白煙に包まれました。

デモ開始前に発砲

 デモ行進がまだ始まってもいない時点で起こったこの騒動について、デモ参加者らは、軍警がデモ行進を中止に追い込もうとしてやったことだと話しています。騒動の際、現場で取材をしていたフォトジャーナリストの男性(39)が、軍警官が至近距離から発射したゴム弾を右ひざに受け病院で手当てを受けました。この男性は被弾した後、救急処置を求めるために現場の指揮を執っていた軍警将校にゴム弾で撃たれたと告げましたが、答えは「我々は何もすることができない」でした。
 軍警の規則では、ゴム弾の発砲は「積極的な攻撃者」に対して、最低でも20メートル離れている場合にのみ認められています。混乱が収まった後、市民は軍警とサンパウロ市警備隊に「付き添われ」ながら平和的にデモ行進を行い、解散しました。