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違法占拠ビル火災・建物崩落で40人が行方不明

 サンパウロ市中心部で1日起きた24階建てのビルが火災後崩壊した事件は日本でも報じられましたが、現地からの続報によると、このビルは数年前から違法に占拠され、ここに住んでいた44人の所在が確認されていません。消防による捜索活動は2日も続けられました。

 崩落した建物の火災は1日午前1時半ごろに発生し、5階で爆発が起きました。その後急速に他の階に炎が広がり、午前2時50分ごろには建物全体に火が回り、建物は崩壊しました。火災は周辺の建物にも影響を与え、5カ所が立ち入り禁止になっています。崩壊したビルに隣接した築100年以上の歴史建造物・ルター派教会も80%が損壊しました。

 同ビルには2000年代初めまでサンパウロの連邦警察本部が置かれ、09年までは地階に国立社会保険院の事務所もありました。12年ごろから断続的に住居獲得運動グループによる侵入が起き始め、現在はLMD(Luta por Moradia Digna)が占拠していたと報じられています。ビルは1960年代に建設され、24階建て。92年にサンパウロ市の歴史建造物に指定された由緒ある建物でした。国が所有し、17年からサンパウロ市へ貸与されています。

 建物の10階までを不法に占拠した人たちが住居として利用し、今年3月には146世帯(372人)の居住が確認されています。居住者の25%は外国人でした。居住者は月に200~400レアルを維持費用としてLMDに支払っていました。火災後居住者の44人の所在が確認されていませんが、入れ替わりが多いため、すでに転居した可能性もあるとみられています。

 火災の原因はまだ明らかになっていませんが、当局は、家庭内の小型プロパンガスや圧力鍋が爆発した可能性もあるとしています。このほか、火災の起きた階で居住者夫婦がけんかしていたという証言もあり、そのどさくさで火が点けられたとの見方もあります。消防では、電気のショートの可能性について調べています。