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刑務所向けのパン供給で公的資金詐取の疑い=リオ州=

 国内メディアによると、連邦警察と連邦検察庁は13日、リオデジャネイロ州の州立刑務所へのパン供給を利用した不正の疑いで捜査を行い、リオ州文民警察専門警察部局の責任者、カブラル元知事在任当時の同州刑務所管理局長らを拘束しました。容疑は、パン製造で過大な請求を行い、公的資金を詐取した疑いです。公的資金の損害額は2300万レアル以上に達すると見られています。

 バングー複合刑務所のパン製造は、刑務所収容者の社会復帰を目的に職業訓練として行われています。同刑務所内にパン工場を設置、収容者がパン製造行い、原材料や水、電気は州政府が提供しています。このプロジェクトを進めるにあたり、同事業を推進する非営利組織が設立され、同組織が州政府と契約して事業を進めています。同組織は刑務所管理局に対し、市場価格を上回る値段でパンを供給していました。

 同事業をこれまで行っていたのは民間企業で、経営状態が悪いため契約が解除され、新たに設立された非営利組織が事業を受け継いでいました。ところが、この非営利組織は契約破棄になった企業の代表者が第三者を通じて創設した疑いが持たれています。

カブラル元知事も関与か

 今回の不正の疑いは、昨年5月、リオ州会計検査院が行った監査で表面化したもので、当時の刑務所管理局長が以前の民間企業と同じ契約を非営利組織にも許可していました。このため同元局長の資産は局長在任中に10倍に増えたとされています。この非営利組織については資金洗浄に利用されていた疑いもあります。捜査関係者は、非営利組織を舞台にした不正の仕組みで詐取された公的資金の一部は、カブラル元知事にも渡っていた可能性も指摘しています。

 カブラル元知事は、知事在任中に公的事業契約にからむ汚職で2016年11月に逮捕勾留され、複数の汚職容疑での被告になっています。今回の捜査で拘束された元刑務所管理局長を加え逮捕されたカブラル政権時代の局長は5人になりました。