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ペトロブラス汚職報告官が小型機墜落で死亡

 地元メディアによると、19日、サンパウロ市からリオ・デ・ジャネイロ州パラチ市へ向かっていた小型飛行機がパラチ空港2キロ手前の海に墜落、同機に乗っていたテオリ・ザバスキ連邦最高裁判所判事(68)を含む5人が死亡しました。ザバスキ判事は、最高裁で国営石油ペトロブラスを舞台にした汚職捜査の報告官を務めており、来月初めには、同汚職に関連した建設大手オデブレヒト社の役員ら77人の司法取引証言の承認が同判事によって行われる見込みとなっていました。同判事の死去で、最高裁における汚職捜査の展開が不透明となってきました。
 墜落した小型機は8人乗りで、19日午後1時ごろにサンパウロ市のカンポ・デ・マルテを離陸し、墜落したのは午後1時45分ごろと推定されています。事故当時、現場付近は雨のため視界が悪くなっていました。
 午後2時20分に航空機事故調査予防センターが連絡を受け、軍人、消防隊員からなる捜索隊が出動しました。ザバスキ判事のほか、同氏の友人で機体を所有するホテルグループの経営者、操縦士など5人の遺体は20日までに収容され、アングラ・ドス・レイスの法医学研究所に運ばれました。ザバスキ判事は休暇を利用してパラチへ向かっていたもので、同判事の死亡は息子が確認しました。
 国家民間航空庁によれば、墜落した小型機の毎年の定期検査は今年4月まで有効で、飛行許可証も22年まで有効でした。操縦士は約20年の小型機操縦経験があり、同型の飛行機は6年間経験していました。
 ザバスキ判事はサンタカタリーナ州ファシナル・ドス・ゲデス出身で、リオ・グランデ・ド・スル連邦大学法学部を卒業。03年から12年まで司法高等裁判所判事を務め、ジルマ政権時代の12年に最高裁判事に就任しました。14年からペトロブラスにからむ汚職捜査の報告官を務め、裁判上の特権のある政治家に対する司法手続きの判断を担当していました。
 来月初めに同判事による承認が行われるとみられていたオデブレヒト社幹部の司法取引証言は900以上の供述からなり、その中では多数の政治家の氏名への言及があるとされています。同判事と作業チームは、年末から休廷期間中も証言の分析を進めていました。同判事の死去により、同司法取引証言の承認を含む最高裁における司法手続きへの影響は避けられないようです。

語られる陰謀論

 同判事の息子は昨年、ソーシャルネットワーク上で汚職捜査に関連した脅迫があることを示唆する投稿をしていたことから、インターネット上では今回の件について陰謀を疑う投稿も見られます。小型機墜落後には、同捜査を担当する連邦警察捜査官が事故を疑問視しているともとれる投稿もありましたが、これは間もなく削除されました。20日付エスタード紙は、同判事の息子はラジオ・エスタドンに対し、「今はいかなる可能性も排除できない」と語ったと紹介しています。