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サントス湾に薬やコカインの残留物質

 23日付けの地元メディアによると、サンタ・セシリア大学とサンパウロ連邦大学がサンパウロ州沿岸部のサントス湾で行なった調査で、同湾の海水から医薬品やコカインの残留物質が確認されました。これらの物質が海洋生物に影響を及ぼしている可能性が懸念されています。

 この調査は溶解した医薬品の存在を確認する事を目的に2014年から実施されています。海水の採取は、サンパウロ州基礎衛生公社が処理した下水が排出される沿岸3.5~4.5キロのサントス湾中心部の船舶航行エリアで行なわれています。

 サンパウロ州基礎衛生公社が処理した家庭用排水地域の海水に、医薬品の物質のほかコカインの残留物質が確認されました。コカイン関係の物質は薬物使用者の尿から排出されたもので、この物質の排水処理は行われていません。調査では純粋のコカインも確認されており、輸送中またはクラック製造中に漏れたと推測されています。調査関係者によると、下水処理は固形物質と微生物の除去が主であり、「ブラジルでは、 薬物や麻薬は汚染物質とはみなされないため除去されない」と説明しています。サントス湾のコカイン量は、米国サンフランシスコ湾で確認された量の100倍といわれます。米国では、下水処理で汚染物質が除去されているためです。

 ブラジル海岸部での調査は今回が初めて。調査関係者は、サンパウロ州以外の地域でも同様な調査を行なうべきだと指摘、「都市人口や下水の排水路が集中している場所では、似たような結果になるはず。新たな残留物処理システムの構築が必要だ」と述べています。