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各地に牛泥棒が横行

 国内各地域で牛の盗難が頻発し、牧畜業者に大きな脅威になっています。地元メディアはゴイアス、ミナス・ジェライス、リオグランデ・ド・スル(南大河)各州の被害状況を次のように報じています。

 牧畜が盛んなリオグランデ・ド・スル州農業連盟によれば、同州内で昨年盗まれた牛は8700頭に上り、約7000万レアルの損失を被っています。農業連盟のデータでは、15年および16年に同州10市で3358件の盗難事件が記録され、そのうち司法へ告発したのは198件(5.8%)に止まっています。

 12ヘクタールの農場を所有する男性(78)は、「牛の盗難事件には警察は熱心に取り組まず、生産農家からは苦情も出ている」と話しています。これに警察は「この種の農村犯罪を捜査する部門がない」と逃げ腰です。

 しかし、警察は泥棒を黙認しているわけではなく、今月上旬、リオグランデ・ド・スル州南部で牛泥棒を専門に行っていた14人のグループを逮捕しました。調べで14人は、約1500頭に及ぶ牛盗難事件に関与していました。盗んだ牛は肉に加工し、市内の精肉店や軽食店、レストランに販売していました。

 ミナス・ジェライス州の牧畜地帯では、今年だけで牛の盗難事件が109件起きています。平均で2日に1カ所が襲われている勘定です。被害に遭った農場の一つは「武装した強盗が押し入り、屠畜の準備ができていた17頭の牛を盗んでいった。農場の管理人は縛られて、12時間も身動きできなでいた」と手口を語っています。この農場はこれで3度目の強盗被害で、今回だけでも約3万レアルの損害が出ました。

 ゴイアス州では、昨年12月に牛泥棒に襲われ、66頭(12万レアル相当)の牛が盗まれました。これで警察は農村犯罪に対応する専門部署を設置し、現在までに窃盗や盗難の容疑で40人を逮捕しています。