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大統領は潔白を主張

 連邦検察庁が26日、ミシェル・テメル大統領(PMDB=ブラジル民主運動党)とロドリゴ・ロシャ・ロウレス元下議(PMDB)を収賄容疑で連邦最高裁判所に起訴した件で、テメル大統領は27日大統領府で声明を発表、今回の起訴は具体的証拠に基づかないものと指摘、「推定による作り話だ」と潔白を主張しました。国内各メディアが報じています。

 今回の起訴は、テメル、ロウレス両氏がJ&Fに便宜を図る見返りに不正な利益を受け取ったとして行われました。起訴の決め手になったのは、JBS社幹部の証言と同社オーナーのジョエズレイ・バチスタ氏がテメル氏が副大統領だった今年3月に同氏との会話を秘密裏に録音したデータといわれ、このデータが検察に提出されています。同会話の中でテメル氏は、仲介役として自身の元特別補佐官だったロウレス氏(当時は補欠からの繰り上げにより下議)の名前を挙げたとされています。ロウレス氏は今年4月サンパウロ市内で、J&F側が用意した50万レアルが入った鞄を運んでいる様子が連邦警察により撮影され、今月3日から勾留されています。

 起訴状では、この50万レアルについて、国営石油ペトロブラスからJ&F傘下の火力発電企業へのガス供給価格に関して経済防衛行政審議会に影響力を行使した見返りに支払われた賄賂の一部であり、ロウレス氏を介してテメル大統領に支払われたものだとしています。さらに、同件に関する賄賂として合計で3800万レアルを受け取る予定だったとも指摘しています。

審理開始は微妙
 職務遂行中の現職大統領が最高裁に起訴されるのは1992年のコロル大統領に続いて二人目。ただし、コロル氏は弾劾裁判へ向けて職務停止中でした。最高裁で現職大統領の審理を行うかどうかを判断するには、下院での承認が必要となります。下院本会議で議員数(定数513)の3分の2以上が賛成すれば、最高裁11人の判事による審理が始まります。最高裁で訴訟開始が認められれば大統領は、訴訟期間中、最大180日間の職務停止となります。ただし今回は、下院における与党勢力議席数から、3分の2の賛成が得られない可能性も報じられています。この場合、同起訴は保管措置になります。

 今回の疑惑は、今年5月、バチスタ氏による会話録音の内容がオ・グロボ紙により報じられたことで浮上しました。疑惑発覚後大統領は、一貫して不正の疑いを否定し、辞任の意思はないと表明しています。