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大統領が新移民法を一部項目を拒否して裁可 

 上議院サイトによると、ミシェル・テメル大統領は新たな移民法を一部を拒否した上で裁可、25日付官報に掲載しました。同法は、1980年に制定された外国人法に代わるもので、軍政時代に制定された現行法には差別的な面があるとされていました。新法は移住者の権利の保障とともに、移住者や訪問者のブラジル入国や滞在に関する規則、これらの人たちに向けた公共政策のためのガイドラインが規定されています。

 フェレイラ外務大臣(上議員)により提示された草案は、上院での承認と下院での修正を経て今年4月に再び上院で承認され、大統領が裁可したものです。上院で承認された法案では、2016年7月6日までに入国した外国人に対し、その滞在状態にかかわりなく居住許可を与えると定められていましたが、この項目は大統領により拒否されました。理由として、同措置が「全移住者への無差別な恩赦」となる可能性や、移住者受入れに関する当局の権限がなくなることを挙げています。

 拒否された項目はこの他、憲法がブラジル生まれのブラジル人が就けると規定している公職を除き、移住者も公職に就けるとした項目や公務員試験に合格した移住者への自動的な居住権付与などです。国内に居住していない外国人による役職の行使を可能にする可能性があり、憲法に反するのが拒否理由としています。また、先住民や伝統的な民族が国境をまたぐ場合でも、先祖によって占有された土地を自由に移動できるとした部分も拒否されました。理由は、国の主権の要素として国土防衛を定めた憲法に反するとしています。

 ブラジル人の配偶者によるビザや在留許可の付与が、親族関係や依存関係、社交的な要因など他の事例に拡大されることも拒否されました。この拡大措置により、ビザを持たない子供たちの入国が可能になり、未成年者の国際的な誘拐を助長する可能性、また容易にするとしています。1988年10月5日以前に宣告された国外追放令の取り消しや4年以上ブラジルに居住していた移民が犯罪を犯しても国外追放できないとする項目も拒否されました。

 新たな移民法官報掲載後180日以内に細則が定められます。