中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

サンパウロ市の壁絵、「許可無く消去」を禁じる

 今年1月1日にジョアン・ドリア氏(PSDB)がサンパウロ市長に就任して以降、市内の至る所で、建造物や道路の構造物などに描かれたグラフィッチ(壁絵)やピシャサン(落書き)が市当局によって消去されており、これに抗議して新たに落書きするなどした複数のグラフィテイロ(壁絵師)やピシャドール(落書き人)が同市警備隊や軍警察に身柄を拘束されるなどしています。

 地元メディアによると、この件に関して裁判所は13日、サンパウロ市歴史的・文化的・環境的財産保存審議会の許可無く市役所が街中の壁絵を消去することを禁じるとの決定を下しました。この決定に従わない場合、市役所は1日につき50万レアルの制裁金が科されることになります。サンパウロ市役所は裁判所の決定を不服として異議を申し立てる予定です。

 裁判所の今回の決定は、ドリア市長が市内を貫く幹線道路の側壁に描かれた壁絵を消して灰色に塗ったことを受けて壁絵の制作者らが起こした集団訴訟の結論です。原告側は訴えの中で、ドリア市長の街頭美化プロジェクトの一環として市役所が明確な技術基準なしに公共スペースにすでに存在している作品を灰色の塗料で消去したという行為は、景観的、文化的に取り返しの付かない被害をもたらしたと主張していました。

 裁判所の決定に対し市役所は、「壁絵は保護されるべき文化的財産ではない」とし、壁絵の消去は同審議会もしくは技術サポート機関の事前承認を必要としないと主張、異議を申し立てるとしています。