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下院で修正汚職防止法案可決、上院で否決

 連邦下院本会議で30日、汚職防止対策の措置をまとめた法案が承認されましたが、地元メディアによると、連邦検察庁の提案で盛り込まれた10の措置の多くが修正されたほか、判事および検事の職権濫用での処罰に関する内容が加えられたことが物議を醸しています。
 特別委員会で承認された法案に対して下院本会議で多くの変更が加えられました。選挙における裏口座の犯罪化や汚職に対する処罰の厳格化などは維持されたものの、汚職の場合、凶悪犯罪とされる不正利益が原案の100最低給料から1万最低給料となりました。そのほか検察と汚職に関与した個人・企業との間の司法取引や、横領された金額の回復措置、汚職に関与した政治家が属する政党の責任、汚職に関する国民からの通報奨励などに関する内容は除外されました。
 さらに法案の可決後出された修正動議により、判事および検事の職権濫用に対する処罰を厳格化する内容が加えられました。訴訟の対象となる判事の政党的な動機によるとされる行為、検事の行政不誠実とされる行為が規定され、有罪の場合6月から2年の実刑が科される可能性もあります。
 最高裁長官や検事総長は、この司法関係者の処罰に関する項目追加を批判するコメントを発表しました。国営石油ペトロブラスにからむ汚職捜査の連邦検察庁特捜班も30日に会見し、累加法案を捜査や司法関係者への攻撃と批判。同法案が下院で可決された内容のまま大統領によって署名された場合、ペトロブラス汚職捜査の担当から退くことを示唆しました。
 同法案は下院での可決後、上院へ送付され、30日夜の上院本会議で投票にかけられました。結果は反対44、賛成14で否決されました。今後同法案は上院憲政委員会で審議されることになります。