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ジャパンレールパス利用資格変更に怒りの声

 JRグループが来年4月から「ジャパン・レール・パス」の利用資格を変更し、居住国に永住権を持っている日本国籍者や外国人と結婚し海外に居住する日本国籍者から利用資格を剥奪すると発表しました。これがそのまま実行されれば、ブラジルの永住権を持っているものの、国籍が日本にある移住者は同4月から同パスを利用できなくなり、移住者の間から、一斉に不満の声が上がっています。
 JR東日本は今回の改訂について、「発売当初はレール・パスに対する認知度が低く、永住者にも特例措置として利用を認めていた。しかし、年間2000万人を超える外国人が来日するようになり、利用者も増えた。それに利用者からも、これは不公平だという声が聞かれるようになり、もともと外国人観光客向けに発売を始めたものだから、今回特例を廃止することにしたものだ」と話しています。
  この発表で移住者は落胆の表情です。毎回日本を訪問するたびに同パスを利用しているサンパウロ市在住の日本人男性(58)は、「後出しジャンケンじゃあるまいし、『特例』などとは取ってつけたようなもの。我々をバカにしているのかと言いたい。利用者が少ない時に、今まで普及利用してきた者に感謝の気持ちがあってしかるべきだが、節操がないというか情けなくてがっかりする」と怒りを露わにし、同市在住の50代の日本人男性も「数年前は二重国籍者が除外の対象になったが、今度は在外日本国籍者とは。不公平が出るのはパスを発売したころから分かっていたはずで、それなら最初から特例措置など設けず、対象を外国人だけに限定すればよかったのでは。今までさんざんパスを買ってやったのに、観光客が増えたから特例を廃止するとは、結局は客の立場ではなく自分たちの都合でしか物事を考えていないということ」と語りました。

 同パスは来年3月8日から18年3月31日までの約1年間、日本国内で試験発売することも決まっている。このことで、ブラジル国内の日系旅行社によっては売上に影響を及ぼすところも出てきそうだ。ある日系旅行社関係者は先週、同業者から情報を受けたと言い、「日本人のお客様でレールパスを買われる方も結構多かったので、今後は売上が下がることになるでしょう」と落胆した様子だった。
 移住者などの支援活動をしている海外日系人協会は「この措置は日系人切り捨てですから、何らかの行動をする必要があると思っている」と問題視しています。具体的な方法は未定ですが、これまでも同パスをめぐる二重国籍者の扱いを改めさせた経緯があります。