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蜂の駆除で平和資料館が全焼

 サンタ・カタリーナ州フレイ・ロジェリオ市にあるラーモス移住地(日系人口600人弱。リンゴ、日本ナシの産地)で、22日、同地にある平和資料館から出火、同資料館がほぼ全焼しました。資料館の視聴覚室に以前からミツバチが巣を作り危険だったため、市職員も参加し煙で燻して駆除作業を行っていたところ、作業中に資料館天井に火が燃え移り全焼したものです。けが人などは出ませんでしたが、移住地関係者は再建の財源をどこから捻出するかで頭を痛めています。
 関係者の話によると、以前から平和資料館視聴覚室の天井にミツバチが巣を作り、来訪者(特に子供たち)への襲撃が心配されていました。クリチバーノス市の消防署に駆除依頼を行ったものの、「当分の間は無理」と断られてしまいました。
 同資料館は今週、2つの小学校から約100人の生徒たちが訪問する予定だったため、22日にフレイ・ロジェリオ市役所職員らも参加して、移住地関係者がハチの巣の駆除作業を実施しました。以前にも殺虫剤をかけたりして駆除作業を行いましたが、ミツバチ退治は不首尾に終わり、今回は煙で燻す方法を試みました。ところが天井の素材のアルミスレートが発泡スチロールでビニールコーティングしてあり、それとは知らず不用意に火を近づけ燃え移り、急激に燃え広がり全焼したものです。消防車が到着したのは火災発生から30分後で、火の回りが早く、手が付けられない状態でした。
 関係者の話では「持ち出せたのは『平和の鐘』だけだった」と語っています。昨年12月に届いた「ナガサキ平和の灯」の室内灯火台もステンレスの輝きが失われ、ガスボンベも破裂してしまいました。幸い、けが人はなく、「ナガサキ平和の灯」の充電池の一部が別の場所に保管されていたため、灯火台が再建された場合は問題なく点火できるのが不幸中の幸いだった。
 平和資料館の再建方法を話し合う会合が近日中に開かれる予定ですが、市、州、連邦政府の財政状況が逼迫している現在、再建の財源をどこから捻出すのか頭を痛めています。ラーモス被爆者協会会長の小川渡さんは「再建にあたっては多大な労力と資金を必要としますが、これは世界の平和を願うすべての人々の協力なしにはできません。まだ再建プロジェクトは白紙状態ですが、プロジェクトが動き出しました時には皆様のご協力をお願いします」と支援を求めています。