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道路清掃の外国人に医師・技師

 地元メディアによると、サンパウロ市北西部で清掃事業を担当するイノバ社が道路清掃で雇用されている311人の外国人の中に、母国で高等教育を修了し様々な分野のエンジニアや大学の教授、医師、心理学医などなどが含まれていると明らかにしました。同社は2015年5月から、難民や移住者をブラジル社会へ融合、適正配置する計画を実施しています。
 この人たちはアフリカ大陸のアンゴラやコンゴ、ナイジェリアの政治的混乱を逃れ、より安定した生活を求めてブラジルに移り住んだ難民で、家族を呼び寄せたいと希望しています。しかしコンゴからの難民は、大部分がは母国の親族と連絡が取れていず、すでに2年以上が経過した人もいます。
 コンゴでは約20年間にわたって民族紛争が続き、600万人が死亡したといわれます。最近、政変があったこともあり、ブラジルへの移住が増加しています。9カ月前にブラジルへ移住してきた農業技師の男性(24)は、イノバで働くようになってから4カ月になります。コンゴでは国連食糧農業機関のために働き、堆肥から肥料を製造していました。サンパウロでは現在、西部ラパ区でイノバ社の堆肥化計画に加わり、同地区の青空市から出たくず野菜を収集しています。彼は「母国では政治的な迫害を受けた。アフリカで知的な仕事をして死ぬよりも、ここで肉体労働をして生きていた方がいい。恵まれた土地のあるブラジルを愛している。ここには平和があり、自国には存在しない市民への保証がある。自分の家族を連れてきたい」と希望しています。現在の月収は1059(約37,000円)レアル。コンゴの首都で生活する妻と10歳になる息子を呼寄せるためには6000ドルを貯めなければならないそうです。

仕事の能率向上に貢献

 イノバ社によると、この計画は労働・企業家精神支援センター、移住者受け入れセンターと提携して行われており、法的問題や滞在手続きに関する情報、書類作成、トレーニングコース、心理専門家による無料応対や自治体の公共サービス手続きなどを支援しています。
 同社のベゼーラ社長は、「外国人が増加してからは作業チームの能率が上がり、離職率も減少した。皆、責任感があり、献身的で規律のある専門家ばかりだ。この人たちの働きぶりが、他の従業員のやる気を引き出している」と語っています。