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企画省の契約で公金横領システム

パウロ・ベルナルド元企画相を拘束

 地元メディアによると、連邦警察および連邦検察庁国税庁は23日朝から、予算企画管理省(以下、企画省)をめぐる公金横領疑惑の捜査を開始しました。捜査は、企画省がIT企業と結んだ契約を利用した公金横領システムが構築されていた疑いで行われました。同日の捜査で、ルーラ政権で企画相、第1期ジルマ政権で通信相を務めたパウロ・ベルナルド氏(労働者党)など11人が拘束されたほか、ベルナルド氏と夫人のホフマン上議の自宅・事務所や、サンパウロ市の労働者党本部などが捜索されました。
 2010年から15年の間に、IT企業が請け負った連邦公務員の給与ローンのシステム管理の契約で水増し請求が行われ、その資金の大部分が他社との架空の業務契約等を通じて関係者へ支払われていた疑いが持たれています。捜査当局によれば、契約額の70%が還流していた可能性があり、横領された公的資金の総額は1億レアルに達するとみられています。

横領システム構築に関与

 当局は、勾留されたベルナルド氏は横領された資金から利益を得ていただけでなく、横領システムの構築にも関わっていたとみています。同氏とつながりのある弁護士事務所が約700万レアルを受け取り、うち80%が同氏個人に利用されたと指摘しています。水増し請求された資金はベルナルド氏ほか、政府職員にも渡ったとみられ、ベルナルド氏には通信相就任以降も資金が流入していたといわれます。ベルナルド氏はブラジリアで勾留され、サンパウロ市の連邦警察署へ移送されました。ベルナルド氏の弁護士は「勾留は違法であり、同氏は企画省におけるどのような違法行為とも関わりはない」と主張しています。
 この日の捜査で、ベルナルド氏の大臣在任中に企画省の局長を務めた現サンパウロ市企画局長、労働者党の元会計も拘束されました。サンパウロ市にある労働者党全国本部では捜査押収令状が執行され、コンピューターや書類などが押収されました。労働者党本部は声明で、「この日の捜索は不必要であり、同党を犯罪者扱いするものだ」と批判しています。