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弾劾手続き請求の審議は本会議へ=下院

 各メディアによると、ジルマ大統領の弾劾手続き開始請求を審議する下院特別委員会で11日、弾劾手続きの継続に賛成とするアランテス報告官(労働党)の意見書に対する投票が行われ、65委員の過半数38人が賛成して可決されました。反対は27。これを受けて同意見書は下院本会議に送付されました。特別委では、6日午後のアランテス議員による意見書発表を受け、8日午後から第1回目の討議を実施。討議は13時間におよび、9日午前4時半過ぎに終了しました。週明けの11日午前から2度目の討議が始まり、午後8時に投票が行われました。
 弾劾請求では、議会の承認を経ずに追加支出のための大統領令を出したこと、社会プログラムのための支出を公的金融機関の資金で行い、返済を遅らせ会計操作したことが背任罪にあたるとしています。アランテス議員は11日の討議で、背任罪の間接的証拠が見られると改めて説明。これに対し弁護側のカルドーゾ国家総弁護庁長官は犯罪との指摘を否定するとともに、大統領解任が可決されれば「2016年4月のクーデター」として歴史に刻まれるだろうと弁護しました。
 今後は12日の本会議で意見書を読み上げ後、13日付官報に掲載されます。クーニャ議長は本会議の投票について、15日に審議が始まり、投票は17日(日)に行うとしています。下院本会議で全議員513人の3分の2(342人)以上が賛成すれば、弾劾手続き開始請求の審議は上院へ移る。上院特別委員会での審議後、本会議で過半数の議員が弾劾手続きの開始に賛成すれば、大統領は180日間まで一時離職となり、副大統領が職務を代行します。

下院通過は微妙

 下院の投票で賛成または反対すると見られる議員の数については、意向を明らかにしていない議員が100人近くおり、賛成派、反対派両派とも過半数を確保していません。
 混沌とした中、テメル副大統領が同党の民主運動党議員に送った音声メッセージが暴露され、問題にされています。内容は下院での弾劾請求可決を見越したかのような内容で、テメル氏は「ブラジル国民への言葉」と語り始め、「国が危機から脱するためには全政党の協力が必要」などと発言しています。さらに雇用創出に向けた官民連携の奨励や教育、治安、福祉への注力、ボルサ・ファミリア、奨学金といった社会プログラムの継続など政策面にも触れています。 
 テメル氏は同録音について、「友人から暫定大統領に就任することになった場合の準備を問われたことへの返答で、誤って他の議員グループに送付された」と釈明しています。
 ワグネル大統領府秘書室長は、「今日明らかにされた録音により、副大統領が自身の役割を忘れ、隠れた政変を支援していることが明らかになった」と批判していますが、これが政局に影響を及ぼすかどうかは不透明です。

ブラジリアで支持派、反対派が座り込み

 ブラジリア連邦直轄区では10日ごろから、弾劾支持派、反対派が意思表明のためテントを張って泊り込みを行っています。国立劇場前に陣取った反対派の土地なし農村労働者運動メンバーは数百人に上っています。両派の行動はサンパウロ市でも行われています。直轄区公共保安局は17日と見られる下院投票に向け、賛成派と反対派の衝突を避けるため、官庁街から議会前広場までの通りに衝立の設置を進めています。