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ブラジルからの訪日就労 増加の兆し

 地元メディアが、日本での就労を希望するブラジル人が増加の兆しと報じています。ブラジル外務省のデータでは、2008年に31万2000人のブラジル人が日本で働いていましたが、08〜09年の世界金融危機による産業部門の雇用減少、11年の東日本大震災原発事故の影響で、多くのブラジル人が帰国、13年には18万人まで減少しました。それが現在、ブラジルの経済危機と日本政府の景気刺激策を背景に流れが変わりつつあります。ブラジルの日本国総領事館は「日本で働くためのビザ申請が増加している」と話しています。
 ジョアキン・ゴトウ氏(67)が日本で働くことを決めたのは1990年2月でした。愛知県内の歯車製造工場で働き、2人の子供の学業を支援し、現在は同じ工場でスーパーバイザーとして勤めています。再びブラジルで生活することを考え、グアルーリョスにある自宅の面倒を見ている兄弟に昨年18万円を送金しました。ゴトウ氏は、「最近、ここで働くブラジル人が増加した。新人が入ってきている」と話しています。

目的はマイホーム購入や起業

 訪日就労者の多くはブラジルでのマイホーム購入や起業を目指しています。ゴトウ氏も「ブラジル経済は浮き沈みがある」としながらも、ブラジルへ戻ることを考えています。「物の値段が午前と午後で違っていた時代を覚えていますよ」とハイパーインフレも経験していながら、ブラジルの住みやすさは魅力的なようです。
 日本で多く外国人労働者を雇用する産業界だけが、就労の機会を提供しているわけではありません。フットサルのゴールキーパー、ギリェルメ・クロモト氏(29)は選手として、またサッカースクールのコーチとして働いています。彼はブラジルでの起業を最終目的としています。パラナ州ロンドリーナ出身のクロモト氏の父親は日本人、母親はイタリア人です。東京に移る以前はイタリアに10年住んでいました。クロモト氏は「ビジネスの多様化が必要なことを日本人から学んだ」と語っています。将来は輸出入会社を起業し、ブラジルでフットサルを経験させるため、日本の選手をブラジルへ呼ぶことも考えています。「現在、生活の向上のため日本で働くブラジル人は、かつて日本で就労していた経験のある人が多い」と説明していました。