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ルーラ氏の官房長官就任 首都連邦判事が停止の仮処分

 地元での報道によれば、ブラジリアの大統領府で17日、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ前大統領の大統領府官房長官への就任など新閣僚の就任式が行われました。就任式にはルーラ氏本人が出席し、大統領とともに証書に署名しました。ルーラ氏は大統領退任後、5年ぶりに国政の現場に復帰することになります。
 しかし、就任式を前に大統領とルーラ氏が電話で閣僚就任に関して交わした通話の内容が公開され、全国で通話内容に激怒した市民が街頭に集結、抗議を繰り返しました。就任式の間もブラジリア、サンパウロで抗議が続けられました。大統領府前は反対派、賛成派の両グループが集まり、軍警察との間で混乱も起きました。
 さらに就任式後には、連邦直轄区の第4連邦地裁判事が、ルーラ氏の任命が大統領の背任行為にあたるなどとする民間の提訴を受理し、ルーラ氏の就任を停止する仮処分を出しました。これに対し国家総弁護庁は直ちに連邦地域裁判所に異議申し立てを行うなど、政権、反政権側の泥仕合が続けられています。
 連邦最高裁に対しては、ブラジル社会党がルーラ氏就任の停止などを求める訴えを起こしており、今後の展開は不透明です。

閣僚就任は捜査逃れ

 報道によれば、大統領とルーラ氏の通話は16日午後1時半過ぎに行われたもので、連邦警察が傍受したもの。会話の内容は、大統領がルーラ氏に対し、「必要な場合」には就任の証書を届けるというものです。ルーラ氏の閣僚就任は同氏を守るため、という意図がうかがえる内容になっています。
 両氏の通話の内容に関して大統領府は、ルーラ氏が17日の就任式に出席できない可能性があったため、その場合に供えて事前に同氏が署名した文書を用意しておく措置だったと説明しています。大統領府は、大統領の署名のない文書は法的効力を持たないと指摘し、同氏が就任前に拘束されないための行動との疑惑を否定しています。ジルマ大統領は就任式でルーラ氏の署名のみの文書を提示、「通信傍受は憲法に反する行為だ」と電話傍受内容の公開を強い口調で批判しました。

続く抗議行動 経済団体も協力

 反政権派による街頭抗議は17日も続き、10州以上で行われました。ブラジリアでは反対・賛成両派の衝突が発生し、サンパウロ市では、道路などの封鎖が行われました。
 メディアの報道によれば、サンパウロ市内大通りの封鎖を続ける参加者に対し、州工業連盟が昼食を提供しました。提供されたメニューはフィレ・ミニョンとパスタ、米、サラダなどでした。同連盟広報は昼食について、大統領弾劾を求めるグループの指導者のために提供したと説明しています。