中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

検察がルーラ氏の身柄拘束を請求

 地元での報道によると、9日にルーラ前大統領など16人を資金洗浄等の容疑で起訴したサンパウロ州検察当局は、起訴を受理するかどうかを判断する州第4刑事裁判所に対し、ルーラ氏の予防的な身柄拘束を請求しました。10日午後に会見した担当検事は、請求の理由について、証拠の隠滅や、自身の政治的影響力を通じて捜査を妨害する恐れがあるためとしています。
 こうした中、ルーラ氏が現政権の大臣に就任する可能性が浮上しています。仮に大臣に就任した場合、ルーラ氏の勾留や裁判は連邦最高裁判所が判断することになります。
 検察は、建設会社OASがサンパウロ州グアルジャー市に所有する高級マンションに関し、実際の所有者はルーラ氏だと指摘。資産隠蔽による資金洗浄、文書偽造の容疑で告発しました。ルーラ氏は同不動産の所有を否定していますが、会見で検事は、同不動産がルーラ氏のためのものだったとする多数の証言を、同マンションの住民やOAS職員などから得ていると説明しています。
 検察はルーラ氏のほか、OASと同マンションの前所有者Bancoop組合の関係者など6人についても予防的な拘束を請求しています。

ルーラ氏側は政治利用と批判

 ルーラ研究所は声明を出し、ルーラ氏が指摘された不動産の所有者であることを否定。拘束の請求については、「検事が自身の役職を政治目的に利用するものだ」と批判しています。与党労働者党のルイ・ファルカン党首は、請求には根拠がないとし、「メディア向けの行為」だと指摘しました。
 拘束請求に疑問を呈する意見は、野党の政治家からも出ています。野党PSDB(社会民主党)の法務コーディネーターを務めるカルロス・サンパイオ議員は、検事によって示された理由でルーラ氏が捜査を妨害していると判断するのは難しく、現時点では起訴と同時に予防的拘束を請求する理由がないとしており、性急過ぎると批判しています。

ジルマ大統領が大臣就任を要請

 フォーリャ紙によれば、ルーラ氏は与党労働者党の幹部との会合で、ジルマ大統領から大臣就任の要請があったと明かしたと言われています。ルーラ氏は返答を14日まで保留。裁判所の判断や、13日にサンパウロ市はじめ全国規模で実施される現政権への抗議集会の状況などを考慮して判断するとの見られています。