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デング感染大幅増 冬・春の減少期の傾向に変化

 各メディアによると、昨年11月のサンパウロ州内におけるデング熱の感染者数が1万3295人となり、2000年以来過去最高数に達しました。感染者が減少する7月から11月の冬・春にも、感染者数が4万5923人と減少が見られず、この時期としてはかなり増加しました。これまでは、寒い時期にはデング熱の症例は数百件を超える事はありませんでした。
 15年度にデング熱の深刻な流行に苦しんだ都市は、カンピーナス、タウバテ、ソロカバなどで、通常は全国的に減少する患者数をこの各都市が引き上げることに成りました。12月のデータは、まだ発表されてません。
 厚生省によると、15年は12月の最初の週までで、全国でデング熱の「可能性がある」ケースは158万件を記録しています。8月に減少した後、年末に向けて発症数は上昇し始めています。デング熱が原因とされる死亡者は、11月半ばまでに全国で811人で、重症者は1488人。14年の感染者は55万5462人で、死亡者は453人でした。
 感染数が減少する時期が季節に左右されなくなっている理由については、専門家の間ではっきりした説明がされていず、蚊の行動や抵抗性の変化などについて研究され始めたところです。ただ不規則な降雨分布や気温の急激な上昇など気候の影響、都市に蚊が適応し易くなっている、デング熱の一部の型に市民の免疫力が適応していないなどの見方がされています。
 サンパウロ総合大学(USP)の公衆衛生学部流行病学科の研究者で生物学者のパウロ・ロベルト・ウルビナッチ氏は、「年間を通じて、蚊繁殖の季節を定めることは難しくなった。繁殖の条件は、春夏秋冬のいつでも揃っている」と指摘しています。同氏は、特に休暇時に家族は注意を払う必要があるとしており、「旅行に出る前に、全てを掃除することが非常に大切だ」としています。
 寒い時期にもデング熱の感染が多くなっているとはいえ、年間で最も多い時期はやはり2月から4月です。サンパウロ州ではこの時期に50万人以上が感染し、年間でピークに達する3月には、22万5000人もが感染しています。