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経済危機でサンタクロースも「失業」

 地元メディアによると、景気低迷が季節の風物詩サンタクロースにも及んでいます。昨年末はサンタクロースとして子供たちとのパーティや企業の親睦会などあちらこちらを奔走していたジョゼ・ロベルト・ダ・シルバさん(41)も、今年はサンタの衣装をタンスにしまっておくことが多くなりました。昨年の12月は3件の仕事を終え、クリスマスの夜まで予定が決まっていましたが、今年はまだ何の予定も入っていません。
 シルバ氏がサンタクロースの仕事をするようになって6年になります。本業は機器類を維持管理する自営業ですが、サンタの余業をこなすためひげを伸ばし続けていました。しかし来年からは、「市場がこういう状況なので、定職を探すためにひげを剃る事を考えている。クリスマスの夜だけ付けひげで働く」と話しています。依頼が減っただけでなく、経済危機で失業した人が加わって人手が増え、支払われる金額も下がっているそうです。

サンタの仕事が半減

 「サンタクロースとCia」社のエリオ・ジェルバス社長も、この不景気に困惑しています。この業界で12年になる同社は、クリスマス向けに25の異なったアトラクションを提供、ショーや資材のレンタルを行ってきました。今年はサンタクロースとして働きたいとの就労希望者が増加しているのに、仕事量は約半分に落ち込んでいるそうです。
 サンタクロースとしての収入は、35日から40日間働いて1万5000レアルになります。企業や個人のパーティーの場合、会場で働いている時間に応じて500〜1000レアルが支払われます。ジェルバス社長は、「顧客が支払う相場も、昨年と比較して平均400レアルほど低下している」と話しています。
 ブラジル・サンタクロース事務所のジョルジェ・オシウジオ所長によると、これまでのショッピングセンターは2交代で2人のサンタクロースを雇っていたのに、今では1人だけ雇用、表に「ノエレッテス(若い女性のサンタ)」を配置することもやめてしまったとか。
 同所長は、「小零細企業も店の前で何のアトラクションをしていたのに、今年はこれもない。18年間でこれほどの危機を見たことがない。15年間働いているベテランでも、今年は仕事がない」と話しています。同事務所には、110人のサンタクロースが登録していますが、その内の40%は仕事先がない現状だそうです。