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大統領弾劾は「軽率」 懸念される影響

 地元での報道によれば、エドゥアルド・クーニャ連邦下院議長(PMDB―RJ)がジルマ・ルセフ大統領(PT)の弾劾請求を受け入れたことで、経済学者が経済・金融部門に影響が出ると指摘しています。リオデジャネイロ国立総合大学の経済学者ルシアーノ・ダゴスチーニ博士は、「今後3年間にわたって経済的に悪影響が及ぶ。ジルマ大統領が罷免された場合に誰が大統領職に就くかどうかに関わりなく、少なくともカントリーリスクと公的債務、そして失業が増加する」と語りました。

投資が減少し、成長は停滞

 ダゴスチーニ博士は短期的な影響として、「9月に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、ブラジルの格付けを投資適格級から引き下げており、他の信用格付け会社も、今後数カ月以内にブラジルの信用格付けを投資適格から投機的水準に引き下げる可能性がある」と指摘、「それはブラジルへの投資が減少し続け、さらに失業率が高くなることを意味する」と警告しています。同博士は、「今回の弾劾に向けた手続き開始は軽率な行動であり、現在、政治危機と経済が後退しているにもかかわらず政治家たちは、どんな状況が市民に無愛想な回答になるのかを理解していないようだ」とも述べています。
 サンパウロ総合大学(USP)経済学部のファビオ・カンクズク教授も、「弾劾に向けた手続きが開始された場合、ブラジルは政治的な不確実性で成長が止まるだろう。いずれにせよ年末からカーニバルにかけては停滞せざるを得ない」と懸念しています。