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基礎医療施設妊婦の3分の1は中国人

 地元メディアによると、サンパウロ市内に中国人移民が増加し中国人の妊婦も増加しています。これを反映して統一医療保健システムでも中国語が使われるようになってきました。サンパウロ市中心部の基礎医療施設の医師や看護師によると、ブラジルの法律では国内で誕生した子供の両親は国外追放されないため、中国人移民はブラジル国籍の子供を持つことで永住ビザを取得することを目指している、と指摘しています。基礎医療施設コーディネーターのクロビス・シルベイラ・ジュニオル医師は、「外国で子供を産もうとする多くのブラジル人と同様、ブラジルに住む外国人も同様な考えで普通のこと」と驚く現象ではないとしています。法務省によると、現在国内には合法的に在住している中国人は5万8000人以上になります。

医師たちは意思疎通に苦労

 中国人妊婦は、一般の病院にも診察に訪れます。多くの中国人女性が小売商として働いているセー区の基礎医療施設とベレン区の州立レオノル・メンデス・デ・バロス産婦人科には、中国人妊婦が多く訪れます。基礎医療施設のアンドレア・ガラニト部長によると、出産前診断を受けている妊婦300人の内100人が中国人妊婦で、5年前まではこの半数だったと指摘しています。中国人妊婦のほとんどはポルトガル語を話せないため、同施設やレオノル・メンデス・デ・バロス産婦人科では、出生前診断と出生後の注意事項を中国語で記載したパンフレットを手渡しています。文化と言葉の違いを乗り越えるため、パンフレットが不足した場合は、医師は辞書やタブレット、身振り、グーグル翻訳などを使って意思疎通を図っています。基礎医療施設のパトリシア・ピニェイロ看護師は、「夜に薬を飲むことを説明するのに、月の絵を描いたりしている」と苦心のほどを語っていました。