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司法機関の給与調整案を大統領が拒否

 地元メディアによると、ジルマ大統領(労働者党)は22日付の連邦官報(DOU)で、先月末に上院議会で可決された司法機関の職員の給与調整に拒否権を行使したことを明らかにしました。大統領はこの給与調整を「違憲であるばかりでなく公共の利益に反する」と、拒否の理由を説明しています。これに対し司法機関の職員は、「各個人の最後の力が尽きるまであきらめてはいけない」と、国会審議で大統領決定が覆らない場合は連邦最高裁判所へ提訴するとしています。
 企画・予算管理省の計算によると、給与調整が実施されれば2018年までの4年間に257億レアルの支出が発生、官報には「このような大規模支出が与えるインパクトは、財政収支の均衡の取れた運営を目指す政府の方針に反する」と記載しています。
 ジルマ大統領が行使した拒否権の可否については今後国会で審議されることになりますが、国会の決定が給与調整に賛成で政府が実施することになった場合、司法機関の職員の給与は今後4年間で平均59.5%上昇、中には78.6%の調整を受ける職員も出てきます。14年度の司法機関の職員給与を含む支出は月平均1万5100レアルで、立法、行政を含む3機関の中で最高額となっています。

各省庁長官も反対表明

 上院議会での可決以来、ジルマ大統領始め省庁長官は歳出削減を掲げる政府方針に反すると指摘し、司法機関の給与調整案に反対を表明しています。ジルマ大統領はイタリア滞在中だった今月11日にも「あのように大規模な給与調整はブラジルとしては不可能だ」と述べ、調整率が56.4〜78.6%となることから「経済の大成長期であっても70%もの調整率などはあり得ない」と発言しています。
 司法機関の職員らは06年以降昇給と昇進が滞っていると主張し、12年に給与調整が行われたものの、「構造を部分的に変えたに過ぎず、給与調整ではない」としています。連邦最高裁判所は司法機関職員の新たな交渉要請を予想していますが、同裁判所のリカルド・レワンドウスキ長官は上下両院で既に行使された大統領拒否権を覆すことは至難と見ています。