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日本がブラジルに税制で協議要請

 地元メディアによると、ブラジル政府は国内に生産拠点を持つ自動車や電気製品メーカー、IT産業などを対象とした工業製品税の税制優遇措置を2011年に開始しましたが、世界貿易機関協定に違反しているという指摘を欧州連合や日本政府から受けてきました。日本政府は2日、ブラジルを提訴する第一歩として、2国間協議の開催を世界貿易機関に要請しました。
 ブラジルは国内産業振興を目的に自動車などの工業製品税に対し優遇措置を採用しており、優遇の条件としてブラジル国内に製造工場を設置することなどを各メーカーに求めています。今後2カ月にわたってブラジルと日本両政府が協議を重ねても合意に達しない場合、日本政府が紛争処理小委員会設置を世界貿易機関に要請する構えです。
 ジルマ政権は、先月初め開催されたラテンアメリカ・カリブ諸国共同体代表団とEUの合同会議の中で対EU自由貿易の実現に向けて始動しましたが、日本のブラジルへの要請は、EUが昨年米国、オーストラリア、日本、韓国など先進諸国のほか中国、インド、ロシア、アルゼンチン、台湾、トルコといった途上国を巻き込み世界貿易機関にブラジルを提訴したことを踏まえてと見られています。この提訴に対しブラジル政府は、「工業製品税優遇措置は国内で生産する外国企業に中国からの輸入品に対する競争力を提供しており、EUと日本の企業にとっても有利なものになっている」と主張しています。
 日本政府は、かつてブラジル政府が第4世代(4G)携帯電話サービスに対応する2.5ギガヘルツ帯の周波数の入札を行った際国家電気通信庁が、最低60%の国産部品または国産システムの使用を応札条件としたことに不満を表明していました。日本政府はIT製品輸出への影響を懸念しており、ブラジル政府がこういった条件を入札に課す傾向が近年強まっているとして、他の周波数の入札にも同じ条件が適用されかねないとしています。こうした流れが自動車産業にも波及する可能性があるとして、今回の協議要請に踏み切ったようです。