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ブラジル人戦場カメラマン ドローン使いシリアを撮影

 地元での報道によると、ブラジル人戦場カメラマンのガブリエル・シャイン氏がシリア北部の都市コバニに無人航空機(ドローン)を持ち込み、上空から町の様子を撮影、帰国後にブラジルのメディアを通して公開しました。シャイン氏はイラクガザ地区、エジプトなどでも取材しています。
 シャイン氏は、シリアで内戦が始まった2011年以降4回渡航しています。4回目に渡航した4月5日、トルコとシリアの国境を越えようとしてトルコの警察に逮捕されました。首都アンカラの独房では40時間も眠らせてもらえず14時間以上にもわたる取り調べを受けました。それでもシャイン氏は「母国で身動きが取れなくなっている人の現状を報道したい」とシリアに残って取材を続けることを希望しましたが、1週間後、ブラジルへ強制送還されました。
 ブラジルに帰国後は、4〜5月の渡航時にドローンを使って撮影した航空写真を公開しました。地上からの撮影だけでは範囲が限られるため、昨年3度目にシリア入りした時にドローンの活用を思いつき、サンパウロで機材を買ってシリアに入ったのです。
 シリア内戦で激しい戦いの現場となったコバニの町は、シャイン氏には「ゴーストタウン」のように映じました。イスラム国との4カ月間にわたる攻防戦で建物は町全体のわずか20%しか残っていなく、ドローンが撮った写真には見渡す限り瓦礫(がれき)が埋め尽くす灰色の町しか映っていません。
 シャイン氏は「市民はすぐ先のトルコに逃げ込みたいと思っているが、道が閉鎖されているため、コバニでゼロから町を建設するしかないと考えている」と説明、「家は壊れてしまっているのに、その跡地で女性が洗濯をし、子供は遊び笑っていた」とすべてが破壊された中でも日常生活を取り戻そうとしている人々の姿が印象深かったと語っています。