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ペトロブラス汚職事件の捜査進展 法務省も関与

 地元メディアによると、国営石油会社ペトロブラス汚職疑惑を巡り、連邦検察庁に勾留されているブラジリアの広告会社ボルギ・ロウエ社の副社長リカルド・ホフマン氏が、元下院議員のアンドレ・バルガス氏とその兄弟のレオン・バルガス氏への贈賄したことを供述しました。検察庁はホフマン容疑者の自供に基づき、連邦貯蓄銀行と厚生省だけでなく高等選挙裁判所と同社の間にも裏金の授受があったことを明らかにしています。「第11次ラバ・ジャット作戦(別名オリジェン作戦)」が6日目を迎えた15日、連邦警察は労働者党(PT)の財務担当者だったジョアン・バッカーリ・ネット容疑者も逮捕し、汚職事件は拡大の様相を見せ始めました。
 検察庁が連邦行政関連情報一貫化システムから法務省の財政データを取り出し取引きの有無を確認したところ、高等選挙裁判所の運営事務局からボルギ・ロウエ社への支出470万レアルが浮かび上がりました。2010〜15年の期間に複数の政府機関から同社へ支払いが行われていた事実も明らかになり、総額1億1800万レアルのうちの大半が厚生省からで、470万レアルが高等選挙裁判所からの支払いでした。
 この支出に関しては、近日中に連邦警察が捜査を開始する予定です。これを報じたエスタード紙が高等選挙裁判所へEメールで取材をしましたが、返事はなかったなかったとしています。
  ペトロブラス汚職事件の担当判事のセルジオ・モロ判事は「ホフマン容疑者の広告会社が複数の政府機関との間で贈収賄をくり返していた事実を示す証拠を既に 得ている」としており、供述を始めたホフマン被告により汚職に関与した政府機関の名が新たに明るみに出る可能性も出ています。

労働者党幹部も逮捕

  15日早朝、サンパウロ市内の自宅で逮捕されたバッカーリ・ネット容疑者はペトロブラス社からの収賄罪のほか、マネーロンダリング資金洗浄)罪で起訴さ れました。労働者党はペトロブラス社から受け取っていた賄賂の一部を資金洗浄目的で高等選挙裁判所に寄付していたと見られており、グローボ局のメルバ ル・ペレイラ解説委員は「犯罪組織が資金洗浄のために絵画を購入するようなものだ」と説明しています。この寄付は合法的に行われており同件に関し、高等選挙裁判所側に違法性は認められないとされています。
 逮捕直後のグローボ局のラジオ放送は、検察側がバッカーリ・ネッ ト容疑者の容疑を証明する文書を入手したと報道しています。その報道によると、文書は印刷会社への支払い証明で、記載されているサービス内容は実際には提供されていませんでした。検察側はこれを基にさらに調査を進める予定です。