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飛行機恐怖症の治療開発

 地元メディアによると、飛行機恐怖症を克服するための新しい治療がブラジルで開発され、既に実用段階に入っています。この治療は認知行動療法に基づいて患者のストレスを軽減するもので、患者の恐怖心に寄り添い、徐々に恐怖心を取り除いていく方法です。認知行動療法の専門家で、同プロジェクトの推進者の一人でもある心理学者のクリスチアーノ・ナブコ氏によると、この治療方法はブラジルで開発され、世界でもブラジルだけで実施されているといいます。
 治療を受ける患者はまず、特殊な眼鏡を掛けて空港の状況が再現された仮想現実(バーチャルリアリティー)の世界に入ります。ヘッドホンから空港の中にいるような雑踏の音が流れ、まるで現実に空港にいるような仮想現実の中に入ります。セラピストとはヘッドホンを通してコミュニケーションを取ることができます。
 患者は仮想空間の中で機内の座席に座り、離着陸や乱気流時の揺れを含めた飛行機の動きを体験します。その過程でセラピストは心拍数を測定して患者のストレスの度合いを測りながら治療を進めます。緊急事態には「パニックボタン」を押せば停止します。
 治療費用は12回のセラピーで7000レアル(約27万円)と決して安くはありませんが、12回の治療を終えると、恐怖心を無くすことができるそうです。この新しい治療方法は今後、高所や運転、虫などさまざまな恐怖症の治療にも応用できるとしています。