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食べられる最古の魚ピラルク

 「シーラカンスと同じ、古代魚の一種だから、ひょっとして美味しくないのではないか」―。そんな疑問を抱きつつ、サンパウロ新聞の記者がピラルク料理に挑みました。ピラルクを食べた感想です。

鶏のもも肉の味

 口に入れた瞬間に広がるうま味、ぷりぷりの白身。食感は鶏のモモ肉、これが魚なのか。全長80センチはあるその姿も圧巻だが、ボリュームがすごい。8キロを超える魚から取れる、肉の厚みは段違いに違う。ピラルクを食べた後では、「秋刀魚(さんま)にはどこに身が付いているのですか」と冗談を飛ばしてみたくなる。
 ピラルク養殖関係者によると、シーラカンスピラルクの違いは、「シーラカンスは4億年間生きている魚、ピラルクは1億年の魚。ピラルクは食べられる最古の魚」という。
 こんなユニークな話もある。「ピラルクは世界で唯一自殺をする魚。えらではなく肺呼吸をするため、ピラルクは40分間ごとに水面に上がってくる。だけど敵を感知すると、水面深くに死ぬまで潜り続けてしまう」。食べられるくらいなら死を選ぶ、それがピラルクという。その覚悟たるや恐ろしい。
 ピラルクは刺身で食べても焼いても、煮ても美味しいだけでなく、養殖に非常に適しており、「地球の食糧危機を救う魚」でもあると養殖関係者は言う。理由は、餌を肉に変える率が非常に高いこと。一年間で10キロっも増える。第二に、養殖施設の場所を取らないこと。性格が非常におとなしいため、狭い施設で養殖ができる。第三に、ピラルクの養殖用生けすの水はカルシウムを多く含み、畑の肥料になること、である。

最古の魚は最高の味

 結論として記者は、「世界最古の食べられる魚は、世界最高の魚なのかも知れない」と記しています。