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大統領がテレビで「忍耐と理解」求める

 地元での報道によると、ジルマ大統領(労働者党=PT)が国民向けにテレビ演説を行い、「現在ブラジルが直面している不況は一過性のもの」と述べ、財政緊縮策に対する国民の忍耐と理解を求めました。この演説に反発した人々が国内各地で「ジルマ解任」を叫んで抗議行動を行いました。インターネットのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上でもジルマ大統領の弾劾を求める抗議が行われてており、15日に大規模デモを計画しています。
 テレビ演説は16分間にわたり行われジルマ大統領は、現在の不況をリーマンショック後の2008年当時と比較し、「政府は当時よりもさらに強硬な手段の採択を余儀なくされている」と指摘しました。「緊縮策の効果は第2四半期の終わりには表れる」と具体的に言及し、「これまで政府が背負ってきた重荷が社会の各セクターに分散される」としています。

各地で抗議行動

 この演説は大きな波紋を呼び、ジルマ大統領の姿が画面に映し出される中、サンパウロ市やリオ市、連邦直轄区(ブラジリア)をはじめとする全国の各都市でベランダなど窓辺に出て鍋底を叩き、家の明かりを点滅させて抗議の意を表明しました。こうした抗議が行われたのは、複数の抗議グループがSNSや携帯電話のショートメッセージを通じて呼び掛けたためと見られています。
 ジルマ大統領への風当たりは、今後さらに厳しさを増すことが予想されています。SNS上では大学生を中心としたグループが同大統領の弾劾を求めているほか、15日に全国デモを決起するよう呼び掛けている抗議グループ「プロ・インピーチメント」もあり、同グループに賛同する人がこの数日間で急増しています。
 抗議デモには、ジルマ氏の再選が決定した後に軍部の政治介入を要求し活動を開始したグループや、ジルマ大統領の対立候補だったアエシオ・ネベス上院議員の所属政党であるブラジル社会民主党(PSDB)とつながりのある「オンダ・アズール」など、少なくとも20グループが参加するとみられています。
 この抗議の広がりには、大統領が所属する労働者党内部の主導権争いも絡み、複雑化しているとの推測もあります。