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治安問題を中心に激論=州知事選候補討論会=

 地元メディアによると、10月の総選挙で再選を狙うサンパウロ州のジェラルド・アルキミン州知事(PSDB)ほか主要州知事候補が25日、公開討論会で激論を戦わしました。特にアルキミン氏とパウロ・スカフ氏(PMDB)との間で交わされた治安政策に関する討論は白熱し、互いを激しく非難し合う場面も見られました。サンパウロ市のメトロ(地下鉄)網の拡大についても各候補者間で活発な議論が交わされました。
 公開討論には腸炎で出席が危ぶまれていたアルキミン州知事が登場したこともあり、活発な議論が戦わされました。アルキミン州知事は1991〜95年間サンパウロ州知事を務めたルイス・フレウリ・フィーリョ元州知事(PMDB)の治安政策の失敗について触れ、「スカフ候補はよく治安政策について発言しているが、PMDBの州知事の政策の尻ぬぐいを後任のPSDB州知事がしたことをすっかり忘れてしまっているようだ。フレウリ・フィーリョ政権時は殺人による死亡率が人口10万人当たり30人という高い数字だったが、現在は同10人にまで減少した」と指摘。これに対してスカフ氏は「アルキミン氏は、フレウリ・フィーリョ氏から州知事を引き継いだマリオ・コバス元州知事(PSDB、95〜2001)政権で副知事を務めていたが、当事の殺人率は過去最高の人口10万人当たり40人だったではないか」と手厳しく指摘しました。この指摘にフォーリャ紙が、サンパウロ州での殺人率は90年代後半に最高値を記録したもののスカフ氏の発言と実際の数字には開きがあり、実際には人口10万人当たり35.7人だった修正する場面もありました。
 メディア関係者は、ダッタフォーリャ紙の調査でスカフ氏の支持率は16%でしかなく、スカフ氏はサンパウロ州政府が最も低い評価を受けている治安政策をアルキミン氏の弱点として攻撃することで、支持率上昇に繋げようとしたと見ています。
 サンパウロ州民にとって関心の高いテーマは医療問題について、有力候補アレシャンドレ・パディーリャ前厚生相(PT)が在任時に打ち出した医師拡充政策に言及し議論しようとしましたが、候補者との間で議論になりませんでした。水不足問題についても同じで、記者団から質問が出たことで各候補者から意見が出された程度でした。