地元メディアによると、開幕を9カ月後に控えた2014年サッカー・ワールドカップ(W杯)のスタジアム建設費用で連邦検察庁は、公的資金をスタジアムへの暫定的な設備資金に充てていることは違憲として国際サッカー連盟(FIFA)を起訴し、10億レアルをW杯終了後に支払うよう命じました。一方、開催12都市の中でスタジアム建設が最も遅れているパラナ州クリチバ市では、労働基準法違反を理由に工事の中断命令が出されています。
スタジアムの改修作業に用いられている電線からチケット販売所の設備に至るまで、W杯開催に向けて進められている工事の費用は地方自治体や国から支払われており、連邦検察庁が違憲だとしてFIFAを訴えました。その背景には、W杯の開催で利益を得るのがFIFAのみで公共の利益につながないとの考えからと見られています。
連邦検察庁は「FIFAのイベントのために公的資金が使われることは明らかに違憲であり、チケット販売やテレビ放映によって得られる収益のうち1センターボも公庫には還元されない」と強く批判しています。FIFAは開催都市の各自治体と契約を結んで資金を受けていますが、そうした契約自体が無効となり、さらに総額10億レアルを14年7月13日のW杯終了後に公庫へ返還することが要求されています。開幕戦が行われるイタケロン競技場(サンパウロ市)には2万席分の座席が新たに設けられましたが、これらはブラジルの飲料最大手アンベブ社とサンパウロ州からの提供による総額3500万レアルの投資で設置されたもので、連邦検察庁は公庫からの直接投資だけでなく、第三者を含む間接投資も禁止するとしています。