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チャベス大統領死去でブラジル、米国の反応

 ブラジルでも、反米社会主義のカリスマ指導者として知られたベネズエラのウーゴ・チャベス大統領が首都カラカスの軍病院で死去したことが、大々的に報じられました。同大統領は2011年からがんとの闘病を続け、キューバで4回にわたる手術を受けていましたが、政界復帰は果たせなかったと報じ、ブラジルのジルマ大統領の「ラテンアメリカの偉大な指導者を失った。ブラジル大統領としてだけでなく、個人的に親愛の感情を抱いていた人間として、チャベス氏の死を悼む」というコメントを載せています。
 チャベス大統領は、14年にわたりベネズエラを率いてきました。1992年にクーデターによって政権を奪取しようして失敗、逮捕されたこともあります。その後、98年の大統領選で立候補し、56.24%の投票を獲得して勝利しました。09年に憲法改正によって巨大な権力を手に入れたことから、「独裁者」として批判も受け続けていました。
 チャベス大統領の後継者として、ニコラス・マドゥロ副大統領が暫定大統領として就任する見通し。さらに30日以内に大統領選が行われる予定となっており、昨年10月の大統領選で野党の統一候補としてチャベス政権からの脱却を訴えたエンリケ・カプリレス氏が出馬する可能性が高いと見られています。同地の日系人の話によると、「チャベス氏が死んでも、国内の政治状況に変化はないだろう」と語っています。

ブラジルと米国の反応

 ジルマ大統領はチャベス大統領について、「政策面でブラジルとベネズエラは同調できなかった部分も多い。しかし、チャベス大統領は南米諸国連合(UNASUR)とラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の設立をはじめ、ラテンアメリカの発展のために大きな役割を果たした」と語っています。
 オバマ米大統領は声明文で「ベネズエラの新たな歴史の章が始まる」と述べています。「米国はベネズエラ国民を支援し、今後はベネズエラ政府との間で建設的な関係を築く」と語り、反米路線が続いたベネズエラとの関係改善を示唆しました。
 チャベス大統領の反米社会主義は、自国の石油を提供することで、ボリビアエクアドル、アルゼンチン、キューバなどの左派政権を支え、ラテンアメリカに大きな影響を与えました。