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対米関係の修復なるか

 ブラジル地元紙によると、ジルマ大統領と米政府は、ここ数年間で冷え切った関係の修復を行おうとしています。イラン核問題の仲介などで欧米諸国と敵対する国とも友好関係を築く「独自外交」を目指したルーラ前大統領の政策は、ブラジルにとって国際影響力の強化にはつながったものの、米国にとっては「反米左派的」「目の上のたんこぶ」と映り、両国の関係は冷え切っていました。オバマ政権となってからも、ホンジュラス危機やハイチ震災、コロンビア米軍基地の設置などでブラジル、アメリカ両政府はことごとく対立、関係改善は見られませんでした。
 ジルマ大統領は就任前、米ワシントンポスト紙とのインタビューでイラン人権問題への批判を明言し、親米派のパトリオッタ氏を外相に起用するなど、就任後の各国表敬訪問の日程に米国を組み込むなど関係改善への意欲が見られれます。
 両国の外交政策専門家らは、「関係修復を働きかけるべきは米国からだ」と指摘しています。ジルマ氏は政治イデオロギーよりも経済に重きを置く現実派であり、経済提携において重要な南米諸国と中国、米国を最初に訪問国にしています。

ブラジルはアメリカより中国優先

 ブラジルにとってかつて最重要国だった米国は既に、貿易、対内投資ともに中国にその座を譲っており、ブラジルの関心も中国にあります。米上院議員の顧問を務めるカール・メシャン氏は、「米国はまだブラジルのことを知らない」と指摘しています。
 確かに今のところ国際社会におけるブラジルの役割は未知数で、その出方や協調性を計りかねるというのが実情のようです。ブラジル外務省はヒラリー国務長官が休日返上で就任式のためにブラジル訪問したことを大変好意的に受け止めているものの、貿易などの経済提携においては既に「米国優先」の考えをしていないといいます。