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アマゾンとパンタナールの2大水源が枯渇の危機

 オ・エスタード・デ・サンパウロ紙によると、全国的な乾燥と雨不足で、ブラジルの2大水源であるアマゾン地域とパンタナール湿原の水位が極端に下がり、生態系への影響だけでなく、流域市で飲み用水や食品、ガソリンなどが不足する深刻な事態になっています。
 アマゾナス州では、ソリモンイス川と支流のプルス川、ジュルアー川が特に深刻です。8月は降雨が全く無く、流域のエンビラ、ベンジャミン・コンスタントなど州西部の4市は、あと2週間で飲料水や食品、ガソリンが底を尽きる状態で、奥地では少なくとも70集落で飲み水が不足しています。同州では4市以外に25市が乾燥非常事態宣言を発令しています。マナウスから1100キロのベンジャミン・コンスタント市では、36集落が陸の孤島と化し、職員が水や食料といった市からの救援物資を足で運んでいるほどです。ブラジル地質サービスのマルコ・オリベイラ代表は、未曾有記録となった2005年の水位と比べると、まだ6メートル以上の差があるとしつつも、危機感に焦りの表情です。
 マット・グロッソ州でも州都クイアバから130キロのカイサラ湖シャコロレー湾で水位が急激に下がり、1969年の測定開始以来最低の73年(1.3メートル)を大きく下回る85センチ程度にまで落ち込んでいます。雨期には4万5千ヘクタールを覆う同湾は、国内3位の貯水容量を誇りますが、マットグロッソ連邦大学環境衛生工学部のパルマ・デモウラ教授によれば、ダムの建設工事が始まった97年ごろから枯渇現象が始まったそうです。
 同湖に注ぎ込むクイアバ川はダムでせき止められ、他の5支流も土管の埋め込みや橋の建設工事で塞がれた形。これがパンタナール湿原の雨期の氾濫といった自然のサイクルを狂わせているといわれます。危機感を募らせた環境保全の市民活動家や州検察局が州政府に働きかけ、さきごろ州環境局がダムの放流と支流再開を約束しました。