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キューバの制裁を解除 ー米州機構ー

 米州35ヵ国で構成する米州機構の「第39回定期総会」で、1962年に同機構が除名したキューバの制裁決議を無効とする決定をしました。これでキューバの同機構への復帰の道筋がつき、議長を務めたセラヤ・ホンジュラス大統領は「冷戦は今日、この場で終わり。平和と希望の新時代の幕開けだ」と語りました。キューバはこの決定を喜びながらも、「われわれは考えを変えない」として、復帰を拒否する考えを表明しています。
 キューバをめぐっては、民主化を迫る米国と、早期復帰を求めるベネズエラニカラグアボリビアエクアドルなど中南米諸国の意見が対立し、開催前の作業部会は難航、合意に至らず、物別れに終わるとの観測も流れていました。しかし、総会では「民主主義の擁護や促進」という米州機構の原則や目的が再確認され、これに則した取り組みをキューバ政府に求めることを条件に、制裁決議解除に各国が同意したものです。
 ブラジルは「多数決による決議は避けるべき」としたルーラ大統領の意向でアモリン外相らが話し合いでの採決を働きかけ、この日の合意を見ました。ルーラ大統領は、「中南米諸国の一般市民にとっての勝利」と喜び、外相も「米国の中南米に対するビジョンは移行してきている」と決定を高く評価しています。
 この決定にキューバカストロ国家評議会議長は「米州機構加盟国はキューバに対する全ての犯罪の共犯者」と非難し、復帰を拒否しています。