中南米の最新情報

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サンパウロでも買いだめが進行

 サンパウロからコロナウイルスに関する情報が入ってきました。

 情報によると、17日現在、ブラジルのコロナウイルス感染者は300人を超えました。感染者の70%がサンパウロ州在住者です。感染の広がりでサンパウロ市は17日に緊急事態宣言を出しました。各種施設が閉鎖され、観光循環バスは運休、学校の休校、イベントの中止、60歳以上の公務員と妊婦は自宅勤務等の措置が取られています。

 ブラジル人は危機に対しパニックになる人が多いのですが、今回も買いだめする人が多く、スーパーから次々に商品が消えています。パゲッティーはじめ各種パスタの並んでいる棚は空になり、トイレットペーパー、保存食品、日本米なども買い占めが起きています。

 コロナウイルスは進出企業社員も襲い、既に2人の駐在員が感染していると言われます。また、16日にはウルグアイで感染者が確認され、これで南米全てが感染国になりました。アルゼンチン、チリ、ペルーは国境を封鎖し、出入国の制限をかけ始めました。アルゼンチンは日本人を入国禁止にしています。

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空っぽになったパスタの棚=サンパウロ市のスーパー=

訪米代表団13人が感染

 地元メディアによると、1週間前にボルソナロ大統領と米国を訪問した代表団員2人が16日、コロナウイルスに感染していることとが判り。合計で代表団の感染者が13人になりました。判明したのは経済省の局長、ブラジル産業連盟会長らで、いずれも16日に検査結果が分かったものです。両人は無症状ですが、自宅で待機中です。

 感染者全員が大統領一行と同じ飛行機に乗っていたわけではありませんが、マイアミでのイベントでボルソナロ大統領や役人と会っていました。これまでに同イベントに参加したネルシンホ上院議員、大統領のアシスタント、大統領府広報官、大統領弁護士、大統領警備員などの感染が確認されています。

 検査で大統領一家の陰性は判明していますが、保健省は来週検査をやり直し、大統領の「監視」を続けるとしています。

ブラジル国内でコロナウイルス感染者拡大

 地元メディアによると、ブラジル保健省は15日、コロナウイルス感染者が121人になったと発表しました。感染が疑わしいとして監視しているのが1496人です。

 感染者はサンパウロ州リオデジャネイロ州で全体の72%をしめています。アマゾナス州、南マットグロッソ州でも感染者が確認されるなど、国内で広がりを見せています。

大統領がマスク姿でテレビ出演

 地元メディアによると、ボルソナロ大統領とマンデッタ保健大臣が12日、マスク姿でインターネットのテレビ番組に出演しました。大統領によると、先週、大統領一行は米国を訪問しましたが、同行者の1人、ワインガルテン通信大臣がサンパウロ到着後のコロナウイルス検査で陽性だったためです。

 通信大臣はサンパウロの自宅に隔離されています。大統領の米国訪問には、ミシェル大統領夫人など家族も同行したため、家族もコロナウイルス感染の検査を受けました。結果はまだ判っていません。

 大統領は放送の中で、「私たちと飛行機に乗った中の1人はすでに陰性だった。その他の人も陰性で、感染者はサンパウロにいるワインガルテン大臣だけであることを願っている。私は疑わしいためにマスクを使用した」と述べました。

 世界保健機関(WHO)は、健康な人のマスク使用を推奨していません。咳やくしゃみをしている人がマスクをする必要があり、未感染者はアルコール消毒と手洗いが有効としています。

コロナウイルス感染者増加

 地元メディアによると、ブラジル保健省は11日、新しいコロナウイルス感染者数を52人と発表しました。10日は34人でした。このほかに疑わしい患者が907人います。感染者の大部分はサンパウロ州在住者です。

 保健省による感染者の分布はサンパウロ州30人、リオデジャネイロ州13人、バイア州2人、リオグランデ・ド・スル州2人、ブラジリア直轄区2人、アラゴアス州1人、ミナスジェライス州1人、エスピリトサント州1人となっています。

 マンデッタ保健相は、「WHOはコロナウイルスパンデミックを宣言したが、ブラジルでは何も変わらない」と述べました。

ベネズエラで野党主導の大規模デモ

 ブラジル11日付メディアによると、ベネズエラのカラカスで10日に行われたグアイド政権側主導の数千人規模のデモを、マドゥロ政権側の治安部隊が催涙ガスを発射して解散させました。

 この日のデモはカラカスだけで無く他の都市でも行われました。デモは現政府(マドゥロ政権)に対する反政府運動の一環です。グアイド氏を中心とする野党は国会で多数を占めており、不正な選挙で当選したマドゥロ氏は国会で大統領とは認められていません。大統領不在の場合は国会が暫定大統領を選び、改めて選挙を実施するとしており、国会は暫定大統領としてグアイド氏を選びました。

 このためベネズエラには現在、暫定大統領のグアイド国会議長と不正選挙で当選したとされるマドゥロ大統領の2人がいます。両大統領の世界各国の支持は、マドゥロ政権が中国、ロシアなどの東側諸国、グアイド暫定政権が米国、EUなど西側諸国です。日本もグアイド暫定大統領を支持しています。

 マドゥロ大統領支持国は中国、ロシア、キューバボリビアニカラグア、トルコ、イラン、北朝鮮、シリア、ベトナムなどで、グアイド暫定大統領を支持しているのは米国、カナダ、EUラテンアメリカ諸国の大半、オーストラリア、イスラエル、日本などです。

コロナウイルスがブラジル市場を直撃

 地元メディアによると、ブラジル株式市場の悪化で上場企業は、市場価格で1兆8000億レアルの資産が消失しました。市場が大荒れになった9日だけで430億レアルの損失でした。

 原油価格も世界的な景気後退の懸念が高まり、価格の下落が続いています。これによってペトロブラスの株価も大幅に下がり、9日だけで 910億レアルの市場価値が消え去りました。またドルは石油不況で急騰し、1ドル 4.72レアルで引け、ドル高レアル安の記録を更新しています。

原油急落でブラジルも影響大

 地元メディアによると、コロナウイルス禍拡大による世界経済の停滞で需要が減速、8日、世界市場で原油価格が20%以上も急落しました。1991年以来最大の下げ幅です。この下げは石油輸出国機構OPEC)とロシアとの生産調整交渉の失敗によるものです。

 ブラジルの石油関係者は「コロナウイルス感染の拡大は、石油市場にパニックをもたらした。このレベルの原油価格は、ブラジル経済に大きな打撃を与える。損害額はこのレベルの価格がいつまで続くかによる」と述べています。